○嘉田由紀子君 碧水会の嘉田由紀子でございます。
本日のテーマであります外弁法関連の質問に入ります前に、前回、時間切れで二問の質問をできませんでした。待機していただいた皆様にはおわび申し上げます。
まず最初に、前回のやり残しでございますけれども、子供の養育費の問題についてずっと継続的に話題提供させていただいております。離婚後の子供の言わば幸せづくりのためにというところで、一貫して質問させていただいております。
この法務委員会でも、小野田議員が養育費支払の重要性を強調しておられました。同時に、小野田議員は、会わなくても死にはしないけどと言っておられました。法務大臣も積極的に養育費に対応なさっておられます。
もちろん望ましいことでありますが、今年の一月二十七日に、しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長の赤石千衣子さんやNPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんたちが養育費の取立て確保に関する要望書を森法務大臣に提出しておられます。資料一としてお配りいたしました。
この要望書には、養育費の立替払制度の導入の要望項目に追加して、共同親権問題など親権の在り方とはリンクさせないことという項目があります。このことについて、森法務大臣、どう受け止めておられるでしょうか。
子供の最善の利益を考える上で、金銭的側面のみならず、精神的、社会的側面は重要であります。養育費と面会交流は車の両輪と考えますが、なぜ一方の養育費にのみ、法務大臣、積極的に対応なさるんでしょうか。認識をお願いいたします。
○国務大臣(森まさこ君) 離婚後の共同親権制度を含む父母の離婚後の養育の在り方については様々な御意見があるところでございますが、委員が今おっしゃった離婚後の子供の幸せづくりというところについては私も同意するところでございます。やはり何事も、やはり子供の幸せ、子供の利益を第一に考えて進めるべきであるというふうに考えております。
その中で、養育費の支払の問題も面会交流の問題も、どちらもとても大切な問題だというふうに思っておりますが、両者がリンクするかしないかということについては様々な御意見があるというふうに承知をしております。
私としては、養育費の支払確保の方策と離婚後の共同親権制度の導入の当否の問題は必ずしもリンクするものではないと認識しておりますけれども、先ほどの面会交流の問題も含め、いずれも子の利益に関わる重要な課題であるというふうに考えております。
実際にも、離婚後共同親権制度の導入の当否については、その重要性に鑑み、家族法研究会の担当者に対し、実際に離婚を経験した当事者や心理学等の研究者の声も聞きながら検討を進め、その際には、離婚後の共同親権制度の導入に積極的な立場、慎重な立場の双方から意見を聞くことが必要であるというふうに指示をしているところでございます。今後も家族法研究会における議論の推移を注視してまいります。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
家族法研究会での双方の立場からの意見ということでございますので、そこは現状を見ながら、また未来に向けてということで議論していただきたいと思います。
以下は私の感想でございますけれども、一人親家庭の孤立、あるいは一人親家庭の貧困というのが大変問題でございまして、そこについて、赤石千衣子さんたちしんぐるまざあず・ふぉーらむは、かなり熱心に研究もし、また実践活動しておられます。ロビーイングもなさっておられます。もちろん、そういう方たちが様々な懸念を持っているのは理解をするところですが、そもそも片親親権であることが孤立やあるいは貧困につながっているのではないかと、私、常々これまでも申し上げておりますので、その辺りのところをきっちりと法的な、構造的な問題を今後詰めていただきたいと思います。是非、研究会の方でもその法的、構造的な連携について議論していただきたいと思います。
さて、その面会交流の必要性ですけれども、「子ども中心の面会交流」という著書があります。ここでは、弁護士、法学者、家裁の元判事など、十数名の専門家の方が面会交流の基本的考え方、運用状況について議論をしておられます。全体としては面会交流には後ろ向きとも読める書物ですが、その中に「かっこいいお父さん」という記述があります。
具体的に引用させていただきますと、親子の交流は一生継続するものである、子供が小さいときに会えないからといって、親子関係が一生損なわれたりするものではない、思うに、面会できないとしても、別居している子供が経済的に困らないように今以上に精力的に働いて養育費を送信してあげるようなかっこいいお父さんであれば、成人になってからも必ず頼られる存在となるとS弁護士が記述をしておられます。
この中身については資料二として添付しておられます。ここでは、非監護親、多くの場合は父親ですけれども、養育費さえ払えば面会交流はそれほど必要ないとおっしゃっているように聞こえます。
私の知り合いの具体的な例ですけれども、十年前に子供をある日突然元妻に連れ去られ、DVを冤罪としてつくり上げられ、子供に会えない中で、あなたはATM、つまりお金だけ払う存在と言われ続け、それでも毎月何万円も払い続けてきているという例があります。いまだに子供には面会できておりません。父親は単なるATM、現金自動支払機なのか。
そこで、最高裁判所さんにお聞きします。
家庭裁判所調査官の中には児童心理学の専門家もいらっしゃいますが、非監護親による面会交流の必要性について、理念上、また実務上、どのような認識をなさっておられるでしょうか。お願いいたします。
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
実務上、個々の事案につきましては、それぞれの事案における個別具体的な事情を踏まえた個々の裁判体の判断となるところでございます。その上でのあくまで一般論となるところでございますが、面会交流の適切な実施等を通じて父母の双方が適切な形で子の養育に関わることは子供の利益という観点から重要であると考えられるところでございます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。父母の双方が適切に関わることが子供の利益になるという御判断でございます。
法務大臣はこの問題についてどうお考えになりますか
。
○国務大臣(森まさこ君) 私いつも申し上げましているとおり、父母が離婚した後であっても、父母のいずれもが親であることは、子供にとっていずれもが親であることは変わりないわけでございます。したがって、一般論としては、父母の離婚後も適切な形で面会交流が実施されることは、子の利益にかなうのであれば、子の利益の観点から非常に重要であると認識しております。
個々の事例は様々なものであるというふうに承知をしておりますが、先ほど申し上げた家族法研究会では、父母の離婚後の子の教育の在り方として面会交流を促進する方策もまたこれも検討されていると承知をしております。私からは、担当者に対し、家族法研究会に積極的に議論に関与するようにというふうに指示をしているところでございます。あっ、子供の養育の在り方のところを教育というふうに言ってしまいまして、申し訳ございません、訂正いたします。父母の離婚後の子の養育の在り方であります。
子供の利益に関する問題であることを踏まえて、早期に充実した取りまとめができるように、法務省としてもしっかり検討を進めてまいります。
○嘉田由紀子君 これは理念というか、家族とは何か、人間とは何かという問題に関わるんですけれども、子供の連れ去りに関わって多くの父親たちがかなり人間性を無視され、今のように、あなたはATMと、現金自動支払機と言われるようなことが、ある意味で法曹界の方たちが教唆をするような形で動いているという実態も見ております。
ここで、あなたはATMというので逆に思い出すんですが、二〇〇七年だったと思いますが、第一次安倍内閣のときに当時の柳澤伯夫厚労大臣が少子化問題を論じる中で、女性は子供を産む機械、装置という発言をなさいました。まあ御本人もそこは反省をなさり、訂正なさり、そして安倍総理の厳重注意で退任まではいきませんでしたけれども、このような、まさに女は子供を産む機械、装置と、明治民法以来の女の腹は借り物という思想でございますけれども、女性は子供を産む機械、まさに手段とされる、男性は経済、お金、現金自動支払機、こういう思想そのものが今大きく問われている。まさに法の下の男女平等というところでは、男性も女性も子育てに関わりながら家族を育てるという法の下の男女平等を考えると、共同で離婚の後も子育てに関わるというのが今の時代の新しい流れであると私自身は考えております。
これは答弁を求めませんが、そういう中で、男は単なる経済的働き手、女は単なる子供の産み手という二極分化した男女役割の発想、これを超えるのが共同養育、共同親権の思想だと思います。それだけに、全世界で、先進国の中で日本だけがこの単独親権、取り残されているということも大きく国際的な中で見るべきだろうと、意見を述べさせていただきます。
三点目、外弁法関連ですけれども、まさに今の法の下の平等というところで、国際ビジネスと人権に関する指導原則についてお伺いしたいと思います。
時間がありませんので端的に申し上げますが、今回のこの特措法の改正についても、ビジネスと人権に関する行動計画がどこまできちんと埋め込まれているのか、障害者や女性、LGBT、外国人等を含めた法の下の平等の論点も大変大事だろうと思っております。
そういうところで法務大臣にお聞きしますが、法務省としての行動計画策定に当たっての課題、日本におけるビジネス上の人権状況の改善に向け、期待する効果はどのようなものがございますでしょうか。端的で結構ですので、お願いいたします。
○国務大臣(森まさこ君) 企業の活動が人権に与える影響については国際的な関心が高まっており、企業活動における人権の尊重は新たなグローバルスタンダードになりつつあると認識をしております。
日本としては、国連のビジネスと人権に関する指導原則を支持しており、これを着実に履行するため、現在、外務省が事務局を務めるビジネスと人権に関する行動計画に係る関係府省庁連絡会議において我が国の行動計画の策定が進められております。
法務省としては、引き続きこの行動計画の策定作業に必要な協力を行ってまいりたいというふうに考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
時間が来ました。これで終わります。失礼します。