Facebook 2018年8月15日

「倉敷市真備水害被害調査(その2)」。8月7日の岡山県倉敷市の真備地区の水害被害調の第2報です。前回の8月8日の報告の続きです。今回は今本博健さんと大熊孝さんの堤防破壊のプロセスについてのご意見を紹介させていただきます。8月15日(また長いです)。

これまでのマスコミなどの報告では、小田川や支流の高馬川や末政川の堤防破壊の理由として「バックウォーター」という説明がなされていましたが、大熊さんと今本さんはこれには納得なされず今回の調査となりました。現場をじっくり見て、国や県の担当者、近隣の住民の方のお話なども伺いながら、また堤防の高さや水位変化などのデータを調べ、大熊孝さんは次のようにまとめておられます。

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今回の小田川流域災害は、小田川支川(高馬川、末政川)への逆流が、堤防の低いところから越流氾濫し、そこに小田川の破堤(越流ではない)によって水害が激化されたものと考えます。支川の堤防高は、小田川からの逆流があるので、基本的に小田川の堤防高と同じにしなければ意味がないのですが、ここの場合、その堤防が嵩上げされていなかったことになります。

さらに、支川だけの破堤なら、氾濫量も限りがありますので、浸水位も低く抑えられたと思いますが、高馬川下流小田川の大破堤で大量の氾濫水が押し寄せたことで大きな災害になったものと思います。小田川の堤防が、破堤しなければ、あるいは、高馬川左岸のように何とか持ちこたえれば、被害はだいぶ軽減されたのではないかと思います。

ここのところ、2004年の信濃川支川五十嵐川・刈谷田川、2015年の鬼怒川、2016年の岩手・小本川など、堤防の全断面破堤で被害が激化しています。破堤しない、あるいは、破堤しにくい堤防を造っていくことが必要なのではないかと思います。
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今本博健さんは、添付のように、京都新聞の記事にまとめて、「小田川堤防内の樹木の繁茂と浚渫」「堤防の強化」を適切に行っていれば被害は抑えられたはず、と言っておられます。そして「これからの治水のあり方」として「非定量治水」への転換を主張しています。つまり、対象洪水を設定して、それに対応しようとする今の「定量治水」は、計画を超える規模の洪水に対応できないからです。2001年からはじまった淀川水系流域委員会での議論を通じて得た考えということです。

嘉田自身は、淀川水系流域委員会での理論を実現するべく、2006年7月の滋賀県知事選挙に立候補をした時に、丹生ダム、大戸川ダム、芹谷ダム、北川ダムなど6つのダム計画について凍結を宣言し、「堤防強化」「河川改修」「森林保全」「地域水防強化」を含む「流域型(地域密着型)治水を約束しました。

そしてまる8年かけて、2014年3月に日本で初めてともいえる「流域治水推進条例」を制定し、堤防強化や流域での避難体制、土地利用・建物配慮など、「ながす」「ためる」「とどめる」「そなえる」の多重防護の流域治水政策を進めてきました。

というのも、「洪水は自然現象」ですが「水害は社会現象」だからです。人が暮らす流域側、つまり地域と川とのかかわりを強化せずして、命をまもる水害対策はできません。真備地区については、その点についてかなり大きな課題があることが今回の調査でもわかりました。次の報告にさせていただきます。

 

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