20200527参議院資源エネルギーに関する調査会【確定稿】

○嘉田由紀子君 碧水会の嘉田でございます。少数会派にも時間をお分けいただきまして、ありがとうございます。
まず、岩井議員にお礼を申し上げたいんですけれども、先回、私が大飯原発の樋口裁判長のこの地震に対する耐震の数値を比較させていただきました。そのときに、一般の建物と原子力発電所では比較にならないんだと、比較する対象が異なるということを更田委員長がお答えいただいたんですけど、今日、岩井議員が見事な図にしていただいたので、これの方が分かりやすいと思います。私も、地震の中身について、その分野の専門家ではありませんので、この図は大変分かりやすい。
それから、もう一点。ゼロリスクはないんだと、確率論的なリスクアセスメント、NRCが言っている、これも私は大変大事な視点だと思っております。私自身も科学者の端くれですので、このゼロリスクはないと、確率論的なリスクアセスメント、そういう立場で、実はこの原発問題にも地元の知事として立ち向かってまいりました。
ということで、今日またこの議論を、今日、更田委員長いてくださいますので、一般の皆さんに。では、原発の施設というのは全てしっかりと岩盤の上に建っているのか。大飯の三、四号機のときに議論したんですけれども、昭和四十年代に大飯原発を造ったときに、果たしてここまできちんと規制があったのか。
これは質問通告していませんので今日お答えいただかなくて結構ですけど、私が当時、昭和四十年代の大飯の原発立地の調査を遡ってやったときにこの岩盤規制のことはほとんど出てこなかったので、当時も申し上げましたけれども、農業が、米が余ってきて、そして大飯町としてはどういうふうに産業を、生業を成り立たせるかというときに原発誘致しようと、隠れ田というところに原発を誘致しようというようなことを地元でも伺っておりましたので、果たして大飯原発が昭和四十年代、そこまで、岩盤までしっかり届くような建物になっているのか。これはまた後ほど教えていただけたら結構です。今日は通達をしておりませんので。


今日通達しておりますのは、まさに岩井議員がおっしゃっておられたPRAですね、ゼロリスクはないんだということで、そして今日のこの資料の中で、安全目標の考え方、守るべき対象は何かと。もちろん機器そのものが安全に建築されなければいけない、それは当然なんですけれども。私は、あの三・一一の事故の後、当時、滋賀県知事現職でありまして、プラントの安全性の議論がたくさんなされるんですけど、じゃ、それが万一、放射性物質が大気に出て、それが地域に、水に、生き物に到達したときに、私たちの人命や健康や環境や社会活動、どうなるのかと。これをきちんと把握するのが言わば知事の、地元の責任者だろうということで、アセスメントをさせていただきました。
今日、資料をまず出させていただいておりますけれども、一として、これはシミュレーションの元々の精緻なところを書かせていただいていないんですけれども、また、出典を嘉田事務所にて作成とありますけど、これ、滋賀県で行ったシミュレーションの結果をこちらに持ってきたものです。ですから、滋賀県資料を基に嘉田事務所で作成ということですけど。

まずは、二〇一一年の福島の事故の後、万一、若狭湾岸で福島並みの事故が起きたらどうなるのかということを、当時はUPZ三十キロとコンパスで引いて決められていたんですけど、大気や流れ方というのは、風の方向やあるいは地形によっても変わります。そういうふうな形で、風やあるいは地形の条件を加味した形で福島並みの事故が起きたときに、滋賀県にあるいは琵琶湖にどういう影響があるかということをシミュレーションいたしました。

これは本来、国にやってほしいということで、SPEEDIのデータがありますので国の方にお願いしたんですけれども、立地地元は福井県です。滋賀は、たった十数キロなんですけれども、地元ではないのでこういうデータは出せないと言われたので、滋賀県が環境科学研究センターという研究所を持っておりましたので、そこを中心にしながら、県独自で放射性物質の拡散予測シミュレーションをさせていただきました。その結果、三十キロという単なる地理的な距離ではなく、例えば敦賀からは四十三キロ、美浜から四十二キロ、大飯から三十二キロという範囲のところが避難をしなければいけないという基準の対象になってまいりました。
それで、今日まず最初の質問ですけれども、避難体制をどう取るかということで、二〇一一年から内閣府さん、皆さんと一緒に滋賀県もやってきたんですけど、まず、万一のときのゼロリスクではないそのときに、守るべき人の命やあるいは暮らし、どうするかということで、避難訓練もやってまいりましたけれども、四点、かなり技術的なことなんですけれども、内閣府さんの方にお伺いしたいと思います。
まず一点目は、情報共有です。いざ事故が起きたときに、SPEEDIデータは使わず、計測データによる避難指示をするということですが、これが本当に住民の人たちに徹底できるかという点。
二点目は、避難計画の交通上の実効性でございます。地震だけではなく、それこそ大雪だったり、いろいろございます。

特に、一番近いところ、高島市というところは山の中で、奥の方は道路が一本しかありません。去年の実は台風のときでもその道路が一本切れて、それで一週間ほど孤立するということもございました。ですから、この避難計画の交通上の実効性を内閣府さんの方にお伺いしたいと。
それから三点目は、ヨウ素剤の配布でございます。先ほど来、放射性ヨウ素の話出ていますけれども、配布と服用手順がどうなっているか。地元では、ふだんから置いておいてほしいと、自分の家に置いて、そして、特に子供さんの場合にはそこで服用できるようにしたいという住民の方もおられれば、いや、それはよく分からないから、お医者さんや薬剤師さんに聞いてからということで、市役所でキープしてほしいと、いろいろな意見がございますけれども、ここについてはどういう方針をお持ちか。
そして四点目ですけれども、重大事故のときの指揮系統の問題です。原子力災害対策特別措置法では、国の対策本部が地元市町村に対して指示をするということになっております。福島原発事故のときには菅総理大臣が直接指示をしておられました。一方、災害対策基本法では、国の指示ではなく市町村の指示、判断ということになっております。この点について、どうこの指揮系統の混乱を防ぐのかと。
この四点について伺えたらと思います。よろしくお願いします。

○大臣政務官(加藤鮎子君) 今御質問いただきました四点についてお答えをさせていただきます。
原子力規制委員会では、福島第一原子力発電所事故等の教訓等から、放射性物質の放出時期や放出量を事故発生時に予測することはできないため、SPEEDIのような拡散計算による予測結果には信頼性がないとしております。
そのため、原子力規制委員会が定める原子力災害対策指針におきましては、放射性物質の放出前には、原発からおおむね五キロメートル圏内では予防的に避難をすること、おおむね五キロから三十キロ圏内では放出に備えて屋内退避をすること、そして、放出後には、モニタリングの実測値に基づき、基準値を超えるような区域については一時移転等を行うことが最も合理的な防護策としております。
こうした防護策を確実に実施するためには、住民の方々の理解と協力が必要不可欠であります。実際にいつ放射性物質が放出するか分からない中でいたずらに屋外へ出て避難を開始してしまうと、例えば渋滞により身動きが取れなくなり、かえって被曝するおそれがあります。また、無理に避難することで健康リスクが高まるおそれもございます。
このため、引き続き、関係自治体と一体となって、説明会の開催等の普及啓発や地域の防災計画に基づく訓練を行い、屋内退避の考え方や適切な避難の方法等の定着を図ってまいります。
二点目の御質問でありますが、交通上の実効性についてでございます。
滋賀県の高島市の朽木地区では、大飯原発、大飯発電所からおおむね五キロから三十キロ圏内、いわゆるUPZの区域の中に位置しております。大飯原発で事故が発生し、放射性物質が放出する前の全面緊急事態となった場合は、まず屋内退避を行うとしております。その後、放射性物質が放出され、モニタリングの実施値が基準値を超えたため住民避難等の指示が出た場合には、一時移転等を実施することといたしております。
議員の御指摘のとおりに、交通上の実効性が心配される例えば朽木地区は山間地でありまして、自然災害の発生等によって孤立するおそれがある地域ではあります。
そのため、二〇一七年に取りまとめました地域全体の避難計画も含む大飯地域の緊急時対応においても、当該地区において孤立した場合にはどの避難経路を重点的に復旧するのか、どのヘリポートを使って空路避難をするのかといった、孤立した場合の対応をあらかじめ定めております。また、二〇一八年八月に実施した原子力総合防災訓練におきましても、当該地区が孤立する想定でヘリコプターによる空路避難の訓練などを実施し、計画の実効性の確認を行ったところであります。
原子力防災、原子力災害への備えに終わりや完璧はないということから、引き続き、関係自治体と一体となって更なる改善を継続的に取り組んでまいります。
また、三点目の御質問であります。
安定ヨウ素剤についてであります。
原子力規制委員会の定める原子力災害対策指針では、原発からおおむね五キロ圏内においては安定ヨウ素剤の事前配布を行うことと、そういうふうにしておりますけれども、必ずしもこの地域に限定するものではありません。例えば、原発からおおむね五キロから三十キロ圏内、UPZ内においても、緊急配布の受取の負担を考慮した場合に、事前配布によって一時移転等が一層円滑になることが想定される地域では、住民に対する事前配布は可能でございます。これについては、今年二月、関係道府県に改めて周知をさせていただいたところであります。
今後、国としても、今申し上げたような地域におきましては、当該自治体が事前配布を必要とすると判断する場合には必要な支援をしてまいる所存でございます。
最後、四点目でございますけれども、原子力災害対策本部や非常災害対策本部の連携についてでございます。
複合災害時は、原子力災害の担当部局と自然災害の担当部局が連携をし、役割分担を行い対応することが政府の防災基本計画に位置付けられているところであります。
例えば、情報共有や意思決定の一元化を図るため、原子力災害対策本部と非常災害対策本部との合同会議を開催することとなっております。また、原子力災害対策本部事務局の実動対処を担当する要員は非常災害対策本部事務局の要員と併任となり、非常災害対策本部事務局内において関係省庁との連絡調整を一体的に行うなど、合同でオペレーションを行うこととなります。さらに、現地におきましては、双方の現地対策本部の情報共有や連携を円滑に行うために相互に情報連絡要員を派遣をいたします。このように、中央だけでなく、現地レベルでも両本部での連携を図りながら地方自治体への指示等を行うこととしてございます。
今後とも、訓練等を通じて、こうした対応の運用改善を行い、自然災害の担当部局との連携を強化してまいりたいと思います。
以上です。

○嘉田由紀子君 政務官、御丁寧にありがとうございます。
実は、三・一一以前は原発事故はないものと思われていたので、避難訓練どころか情報さえ滋賀県には来なかったんです。そういう意味で、ゼロリスクを前提にしていたということで、福島では周辺の人たちもそれで大変被害が拡大したということがございますので、私どもは常に備えるということが大事だと思います。
それから、もう一点は、事前にやっていないことは、いざ事故が起きたときにできません。事前に十やっていても、いざ事故が起きたときに五とか四とか三、それはもう皆さん行政の現場で御経験済みだと思いますけれども、ここは、私、同じ立場でおられた高橋知事、北海道で、本当に知事というのは全部のところを目配りしなきゃいけないので、もう念には念を入れて避難体制というのはふだんから検討しと。そして、地元の住民の皆さんと訓練をしていくということが大事だと思います。この間、ヘリコプターで朽木から避難をしていただいた。あれ、地元の人もとても喜んでいました。あそこまでちゃんと避難体制をつくってくれる、それをこれからも是非お願いをしたいと思います。
それから、二点目ですけれども、原子力災害時の飲料水の確保でございます。
これについては、今日、資料をお出ししておりますけれども、二、三、四と出しておりますが、まず二のところで、このシミュレーションをしたときに、福島並みの事故が起きたときに琵琶湖水質への影響予測、これはシミュレーションですから、パラメーターが変わると変わります。こういうふうになるおそれがあるというまさに確率、プロバビリティーでございます。


そして、これで見ていただきますと、放射性ヨウ素の変化、セシウムの変化、特に放射性ヨウ素が百から百五十に高まっているのが七日から十日ぐらいでございます。 実は、琵琶湖は、四ページ目に図を出しておりますけれども、琵琶湖水が配られている地域は、大阪の最南端、岬町まで。それから、神戸には、神戸市の北区、有馬温泉の蛇口をひねっても、まあそのときによって違うんですけど、二割から三割は琵琶湖の水です。

そして、京都から滋賀県内、一千四百五十万人に日常的に水道水源、原水を供給をしております。
私自身は四十年近く琵琶湖の水を研究してきて、何としてもこの赤潮問題から、生態系破壊から、そして水質をキープしたいと、皆さんで、滋賀挙げて研究をしてきて、実践もしてきたんですけど、この原発事故が起きるとあっという間にこの水源が汚染されてしまうということで、滋賀県の方、皆心配をしております。
そして、次のページにありますように、水道水の管理目標値がありますが、特にセシウムは、水道の処理水、処理場でそれなりに取れるんです。

八割とか九割、セシウムは吸着するんです。問題は放射性ヨウ素です。ヨウ素は、水溶性でなかなか吸着できないんです、処理場で。ということで、実は、思い出していただくと、例のあの二〇一一年の三月に放射性ヨウ素が東京都の金町浄水場から出たということで、かなりパニックになりました。あれもほんの一部です。それでもパニックになるくらいですから、かなり、万一、琵琶湖が汚染されたら大変だということで。

水量を計算をしましたら、今、一千四百五十万人、プラス通勤通学で使っている人を入れると千七百万人。で、一日二リットル使うとして三千四百万リットル。あるいは、住民の人はうがいとか歯磨きなどでも使う。そうすると、これを五リットルと想定すると七千五百万リットル。両方で一億九百万リットルが一日に必要です。

これは、今、日本中で供給されているボトル水が一年間で三百万キロリットルなんですけれども、計算をすると、単純に一年分のボトル水を全て集めても三十日弱しか供給できないということで、ここは厚労省さんに、あらかじめの備えとしてどういうふうな形で近畿圏における災害向けの飲料水が備蓄されているか、そして、万一その備蓄水が不足したときのサプライチェーンはどうなっているかということを、消防庁さんと厚労省さん、ちょっと時間がないんですが、まず前半消防庁さんに、後半厚労省さんにお願いをします。

 

○会長(宮沢洋一君) 時間が来ておりますので、極めて短くお願いします。

○政府参考人(小宮大一郎君) 消防庁が行っております調査で、昨年四月一日現在の滋賀、京都、大阪、兵庫の二府二県の府県及び市町村合計で、合わせて四百六十六万リットルとなっております。

○政府参考人(浅沼一成君) お答えいたします。
御指摘の水供給の課題につきましては、公益社団法人日本水道協会の平成二十九年度水道統計によりますと、周辺地域の水道事業者における地下水の取水実績は一日当たり十一億八千万リットルでございまして、飲用水等のみの水量としては十分であるというふうに認識しております。
また、飲用水の供給方法につきましては、各水道事業者が日本水道協会等の関係団体と連携し、給水車等により実施することとなりますが、具体の給水方法につきましては、浄水場等から給水拠点までの距離や各箇所での必要水量の把握が必要となるため、避難計画が作成された段階で各水道事業者が具体的な検討を進めていくことになると承知しております。

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
ボトル水のストックが四百六十六万というと、一日で三千四百万ですから……

○会長(宮沢洋一君) 嘉田由紀子君に申し上げます。時間が来ておりますので。

○嘉田由紀子君 一割供給できないということで、またこの続きは是非具体的な計画にしていただけたらと思います。
済みません、時間が過ぎてしまいました。以上で終わります。ありがとうございました。

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