Facebook 2020年5月4日 「新型コロナ自粛」からの出口を(その3)

緊急事態宣言の解除の条件としては「医療確保」と「暮らしと経済」の両立が必須です。「万一コロナウイルスに感染したら・・・」という多くの人の不安を薄めるには、医療的には「病床使用率」を中心に判断したらどうでしょうか。医療機関の全体ベッド数と入院患者数に基づく「病床使用率」がわかりやすい指標です。(2000文字、また長いです)

大阪府では、5月2日には、宣言解除の条件として「病床利用率」が重症者向けは50%、中等・軽症者は60%を下回れば、段階的に解除する案を提案しています。国が具体的条件を明らかにしていない中で、大阪府の方針は大変わかりやすいです。5月4日「報道ステーション」で「出口戦略の必要性と見える化」を吉村知事が訴えていました。説得的でした。同感です。関西圏の病床使用率と全国の病床使用率を図で示しておきます。滋賀県は50%を下回っており大阪モデルなら解除可能です。

鳴り物入りで記者会見された5月4日の安倍総理の宣言。「緊急事態宣言は5月31日まで延長」という。具体的判断基準はほとんど示されませんでした。「5月6日までがまんしたら」と希望をもって、学校を休み、お店を閉め、介護施設等を閉めて、がまんをしてきた多くの皆さんは納得したでしょうか。「収入ゼロ」「9割減産」・・・。常々言ってきましたが、このウイルスとは、1年、2年とつきあわないといけないものです。ウイルスを怖がりすぎず、長い間つきあわないといけないという覚悟で、1年、2年の長期的方向を示す必要があります。しかし本日専門家が示した「新しい生活様式」は「三密」と「手洗い」「隔離」。どこが新しいのかわかりません。しかも専門家報告書では「ワクチンも集団免疫も長期的戦略にならない」と断言。ではどこに出口をもっていくのでしょう?

このFB上でたびたび「スウェーデン方式」を伝えてきました。経済・社会活動制限を最小限にして「集団免疫」を獲得する方法です。日本の専門家会議の視野が感染症専門家ばかりで、公共政策や経済学や、社会心理学等の人がはいっておらず、狭すぎること、その方たちの意見に国や自治体など、日本中が流されている今の状況がとっても心配です。マスコミもその流れです。太平洋戦争中の「国家総動員法」とまでは言わないが、それに近い空気(私は昭和14年―20年の生活体験はありませんが)のような「全体同調主義」が日本中を覆っているようで怖いです。反論を許さず「自粛」「ジシュク」が繰り返されていく。コロナの死者よりも、社会的・経済的困難の中での「社会死」「経済死」が増えてしまったらどうするのか? そのことを政治の舞台で言い続けます。

京大の公共政策論の藤井聡さんは、このまま自粛がつづくと、国内の自殺者は14万人から26万人ほど増えてしまうかもしれない、と予測しています(藤井聡4月26日FB)。藤井さんは、コロナで死ぬ方も、自殺で死ぬ方も同じ命ですと訴えています。自殺で死ぬ人びとは、今後じわじわと増えてくる恐れがあり、見えにくいだけです。この人たちを全部救い出す方法を政府は考えるべきです。

リーマンショックの2009年の時、滋賀県では自殺者が100名も増えてしまいました。全国では1万人ふえました。ここから回復するのに数年かかりました。当時、滋賀県知事としても大変つらい出来事でした。それも40-50代の働き盛りの人たちです。自殺者の数そのもの以上に、一人ひとりの人生の重さ、愛する人を失った家族や周囲の人たちの苦しみを考えると、コロナで亡くなる人を減らすことと同時に、「経済死」「社会死」を減らすことも政治の大きな役割でしょう。

西村大臣は自粛解除の方針として、①「データと科学的根拠」、②「地域の実情に応じて」、③「新しい生活様式」と3点示していますが、データでみたら大阪府並のわかりやすい数字がほしかったです。そもそも日本のコロナ死亡者数は人口100万人あたり4人弱であり、イタリアの500人、フランスやイギリスの400人と比べると二桁低くなっています。

さらにコロナウイルスはエボラウイルスや天然痘ウイルスなどとくらべ、一段階弱い、危険性が低いウイルスです。また日本全体の死亡者数を見ると、毎年インフルエンザで3000人以上が亡くなっています。その中には子どもたちも多くいます。子どものインフルエンザ脳症は大変怖いです。確かにコロナウイルスは感染力が高く、急激に悪化する「サイレント肺炎」とも言われていますが高齢者などハイリスクの人をできるだけ隔離して守ることで社会全体がつぶれることはありません。このまま「自粛死」「自粛不幸」が増えてしまったら、社会政策として方向が誤っていることになります。

4月26日のかだ由紀子FBで「私自身は、きわめて個人的な見解ですが、連休明けには社会活動を徐々に再開してほしい」と伝えました。声にはあげにくい空気がありますが、多くの国民の皆さんの、本心の願いではないかと思います。国民の皆さんの暮らしと経済への不安を少しでも改善するためには、先日成立した補正予算の執行が必要ですが、今後1ケ月も延長となると、二次補正が必要です。

補正予算には、かねてから言ってきた国民的な「集団免疫の獲得」の確認のための抗体検査調査費とあわせて、雇用確保、中小企業支援、学生支援、また追加的な個人給付などを提案していきます。ウイルスは「撲滅」できるものではありません。先ほどのヴィヴィアン、リーチさんの動画で紹介したように、過剰な経済開発により、これまで野生の中に閉じ込められていたウイルスが人間世界に送りこまれてきました。このようなウイルスと「付き合う」緩和戦略へと転換すべき時と思います。

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