3月13日、「新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律」が今ほどの参議院本会議で成立しました。今滋賀へ帰る新幹線です。2009年に蔓延した新型インフルエンザの対応を踏まえて2012年に成立した「新型インフルエンザ特措法」を元にこの1月から対応をとるべきであった政府が、法律を無視して場当たり的対応をしてきたことは残念です。今になって突然「等」だけをいれる改正法案を出すのも唐突です。(また長いです)。
今日の内閣委員会の参考人意見で同志社大学の川本哲郎教授が、2012年の法案成立後8年もたっているのに、この間に「著しく重大な被害」「相当程度高い」などの法案の曖昧な内容を煮詰めることなく、今回根拠なく学校の全校休校を要請するなど、政府としてのフォローが不十分であり、新たに名前だけ変えても成果は期待ができないのではないかとかなり厳しい意見を言っていました。
また今回、緊急事態宣言の際に「国会の事前承認」などの歯止めをかけるという立憲と国民など共同会派の修正案は、結果的には通らず、付帯決議止まりとなってしまいました。特に政治の私物化がはげしい安倍政権の元での緊急時の私権制限の懸念もあり、ここは国民の皆さんの代表として、立法府である国会議員の矜持を示すためにも「反対」を投じました。
反対をすると、今、緊急に必要な経済対策や生活支援がなされない、という懸念もあると伺いますが、すでに経済・生活支援は、特措法とは関係なくはじまっております。今、日本国として必要な対策は、海外からの誘客減少や、学校の一斉休校、イベント自粛による経済、生活破壊への緊急対応です。
昨日12日に滋賀県内の経済6団体の代表と三日月知事との緊急経済トップ会合では、宿泊施設や各府イベントの予約キャンセルや製造業での資材調達不足で、「リーマンショックや東日本大震災の時よりインパクトが大きい」という切実な声が聞こえました。対応した三日月知事は、学校の休校や県立施設の休館をふまえながら、「3月は辛抱し、4月から経済を動かし始め、5月には本格的に再開できれば」との見通しを示したということです。
私自身、3月12日発行の「滋賀報知新聞」では、昨年10月の消費税増税の影響とコロナ自粛による経済活動の縮小問題で、リーマンショックをこえる「令和恐慌」の恐れがあるという京大の藤井聡教授の意見を紹介しました。暮らしの破壊や家族生活への影響で、コロナウイルスでの健康上の影響以上に、経済的・社会的影響が大きくならないか、心配です。弱い立場の人たちの自殺率の上昇も心配です。
コロナウイルスはもともと感冒の原因となるウイルスであり、高齢者など致死率の高い年齢層もあり、ていねいな対応が必要であるが、潜伏期が長く、比較的容易にヒト-ヒト間での感染が生じるため、蔓延しやすい。医療関係者はワクチン開発を進めているということですので、ここは一日もはやいワクチンの完成を期待します。
感染症というと「エボラ出血熱」などとの比較で語られますが、エボラ出血熱のように血液感染で致死率が高いウイルスであれば、隔離することで対処ができますが、空気中で、生活環境中で感染するコロナウイルスでは完全な隔離は不可能です。それゆえ、人間が家族、職場、地域社会など、社会生活をしている限り、「撲滅」を目指すことが出来ないものであり、インフルエンザウイルスと同様に、最終的には個々人の免疫力を高めて「共生」していかざるを得ないのではないでしょうか。
人類の歴史をふりかえってみると、そもそも「撲滅」できた感染症は天然痘くらいであり、ほとんどの感染症は「共生」状態にあります。あれだけ国際的にも撲滅をめざした結核症も、今だに根絶できていません。そうであれば、「医療崩壊」を招かない状態で感染の広がりを制御でき、死者数がインフルエンザを上回らないのであれば、今の状態で、死者数を減らし、ピークコントロールをしていくしかないのではないか。
3月11日の朝日新聞に、長崎大学の山本太郎教授が、「感染症については撲滅よりも『共生』『共存』を目指す方が望ましい」と言っています。「病気のひろがる速度を抑えながら、病原体の弱毒化効果を期待し、集団内で一定以上の割合の人が免疫を獲得すれば流行は終わる」ということです。そして新型コロナウイルスについては、医療被害それ自体よりも『感染がひろがっている』という情報自体が政治経済や日常生活に大きな影響を与えていることを問題視しています。
そろそろこのあたりで今後の回復過程を仮説的でいいので、政府に示してほしいと思います。まず、暖房を使わずに過ごせる時期や場所では4月にはいれば、屋外イベントから再開してもよいのではないか?西日本から再開して、 東日本へ、そして中部・北陸から東北へという順で、花見前線が北にあがるのとあわせて、「イベント自粛・休校解消前線」という指針を示したらどうでしょうか。そして5月の連休明けくらいからは全国的に活動再開。
日本の社会システムの改善をこの際にいれこんだらという思いから、「事前予防型」(プロアクティブ)政策が拡大できる機会にできたら、とも願います。大都会での感染リスクへの恐れや、ビル内での感染の恐れなどから、満員電車をさけての「時差出勤」や「テレワーク」、あるいは学校休校による「テレ授業」が提案されています。病院感染による「遠隔医療」も提案される機会でもあります。
また全体としては、いわゆる田舎での感染リスクの低さや子育てのしやすさ、自給的農業の復活、そして学校が休みになっての男性や父親の育児参画など、普段から東京一極集中など、すすまなかった新しい時代の社会生活のあり方、住まい方や仕事の仕方、家族やコミュニティの支え合いのあり方など、まさに社会システムとしての「事前予防型」(プロアクティブ)政策が拡大できる機会にできたら、とも願います。皆さんが考える「事前予防型」(プロアクティブ)の提案をお願いします。
埼玉の田舎で農業をしている兄は「今年はジャガイモやサトイモをたくさん植えて自給力を高めるぞ!」と頑張りはじめました(微笑)。
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