200回目国会は「疑惑隠し国会」か?2閣僚辞任、関電幹部原子力マネーの還流、「桜を見る会」の疑惑を隠し通し、法治国家としての矜持は全く見えず、初国会は失望の場でした。12月10日。(また長いです)。
日米貿易協定も内容見えず、教員の働き方改革は、逆に働き方改悪になりかねず。与党の数で押されてしまいました。ただ個人的には「温暖化時代の治水対策」「離婚後の子どもたちを守る家族法改正」の方向を強く打ち出し、無所属の強みを活かし、多様な政党人に訴えることができました。関係省庁からの前向きの答弁もいただきました。
2006年の滋賀県知事就任以来、2014年の退任まで、まる8年かけて、全国的にみても初めての「滋賀県流域治水推進条例」。国や県管理の大きな河川の氾濫だけでなく、下水道や農業用水路の氾濫リスクも取り込んだ「地先の安全度マップ」は、個別の住宅レベルでの浸水危険性までわかる緻密なマップです。それだけに公表にあたっては「地価が下がる」など大きな抵抗をいただきました。
しかし、危険性を知らずに住宅や福祉施設、学校などをつくり、床上浸水を増やし、死者を出すような政治ではいけない、という強い信念の元、滋賀県職員とともに頑張りました。浸水警戒地域では、土地利用誘導や建物建設上の規制も入れました。不動産取引業者も、取引時の重要事項説明に取り入れてくださり、住宅ローンも「流域治水ローン」としてマップに配慮する住宅のローン率割引制度も発足しました。
損保会社も関心を示してくれました。実は昨年の西日本豪雨と今年の東日本の台風被害で保険支払い金額は一兆円を超えるということ。そもそも水害保険など、土地土地のリスクを査定せず、保険料を決めてきた日本の保険会社の方法は保険会社経営の原理から外れています。でも国や行政がマップを日本中で整備しないと保険制度の合理化もできません。
何よりも、浸水危険性を知ることで「事業継続計画」や「避難態勢」を事前に作ることができます。長野県千曲川沿いの北陸新幹線車両基地で120両もの車両が水に浸かり、数百億円の被害がでてしまいました。実はこの場所は「赤沼」「長沼」という地名で昔からの水害常襲地です。最近ある写真を入手しました。飯山市の市川久芳さんが提供下さいました。
新幹線車両が水没してしまったすぐ近くの川沿いの村では、コンバインや田植機など高価な農機具を軽トラなどに積んで「逃していた」ということです。浸水影響を避けようという昔ながらの知恵です。昔は牛や馬を事前に高台に逃すのは子どもの役割だったということも各地でよく聞きます。
土地利用や建物配慮とともに、こんな工夫がいよいよ必要な時代になってしまいました。今、スペインで温暖化対策の国際会議が開かれていますが、「温暖化時代の水害対策」は水害多発列島日本に暮らす先人の知恵を受け継ぎながら、与野党合力して、孫子まで安心できる日本を作らななければ、と国会内を走り回った「嘉田由紀子の第200回国会」でした。
実は今国会で最も質問時間を多く取れたのは、法務委員会での7回に及ぶ、国会議事録で合計30ページを超える「子どもの貧困の大きな要因である離婚後の子どもの親権を、単独親権から共同親権へ」という明治以来の民法改正の働きかけです。今、この内容をどう皆さんにお伝えさせていただくか、思案中です。次回はそれについて、解説させていただきます。