「未来政治塾2018 第3回」を開催。

9月8日「未来政治塾2018 第3回」を開催。テーマは「地方議員のホントの仕事と裏の仕事」として、地方自治ジャーナリストの相川俊英さんを迎えての講義と対談。また未来政治塾出身の首長と市議会議員間の討論の場も準備しました。それぞれまさにホンネトークで刺激的でした。9月9日。(また長いです。ごめんなさい)

第一部では議員と首長のホンネトーク。司会は政治塾事務局長の野田武宏さん。参加者には「政治家になられた動機」「地盤・鞄・看板がない中での選挙の苦労」「当選後の議員活動でのホンネとタテマエ」「議員としての悩み」等、経験者でなければ見えない問題や地方議員のあり方まで踏み込んでいただきました。登壇者は、奈良県生駒市議会議員の沢田かおるさん、兵庫県三木市議会議員の堀元子さん、滋賀県近江八幡市議会議員の竹尾耕児さん、大阪府河内長野市長の島田智明さんです。

それぞれの印象的な発言からごく一部を紹介させてもらいます。沢田かおるさんは一回目に落選して、その後未来政治塾に入塾、仲間に背中を押されて再挑戦、もともと子どもが入院可能な病院を市内につくりたいという子をもつ母親としての強い思いで政策を訴えるとともに、知名度不足解消のため毎朝の駅立を徹底。家族の協力があればこその議会活動という。

家族の協力という意味では堀元子さんも家族の支えをもらい、困難をかかえている人のお役に立ちたいという思いで市議に。自分が興味をもつテーマを押しつけるのではなく、地域の人たちの意見を徹底的に聞き出すというスタンスで、いつも笑顔で接する中で自ずと信頼が生まれてくるという。いずれにしろ女性の議員活動は家族の理解が重要という。

竹尾耕児さんは、政治はあくまでも手段、やりたいことは自分がその真っ只中にいた人権侵害をされている地域の人たちの役にたちたいというところから議員に立候補。投票してくれた1556人全員の思いは直接はわからないが、一人ずつの思いを加えて「足し算の政治」をしたいという。そして自然体の人間性、傲慢にならない人間像を追求したいと。

島田さんは、市長として「二元代表制」の仕組みで「最適解」が得られるのかいつも悩まされているという。確かに議会は首長のチェック機関ではあるが、それが行き過ぎると組織も施策も動かなくなる。なれあいになると議会のチェック機能が働かなくなる、そのせめぎ合いに悩んでいると。既得権益が強い議員さんとのやりとりに苦労しているようだ。

全体の議論が集約したのは、議会の「会派」の問題だ。類似の考えや同じ政党に属す議員でつくる団体が会派だが、会派に属し、会派としての意見に沿って議決判断をする議会が圧倒的に多い。竹尾さんは会派には強く反対するという。自分自身の頭で考えず組織に従っていることは議員の義務の放棄とも考えていると。会派制については、相川さんも、「なまけもの議員の逃げ口になっている」「多数派への同調圧力」が強く働くという。後から私も、「数の論理で多数議員をもつ会派が権力をにぎり必ずしも風通しのよい議会運営にならない」と指摘。

第二部は相川さんの講義。日本全国1788の議会があり議員は33400人。日本各地をまわり大きく危惧していることは、日本中で地方自治への関心がどんどん低くなっていて、負のスパイラルに入っているということ。要素は「無関心」「新規参入の困難」「議会力の低下」「議会不要論」という4点であり、その中心にいるのは「住民」。つまり住民がこの4点をブレイクスルーしたら議会が活性化し、本来の意味でも住民のための議会になる、という。

住民側のタイプとしては大きく分けて3つの層がある。①必ず選挙に行く現状肯定派が3割。②関心がない、余裕がない、きっかけがない、あきらめている、などの消極的中間派が5割。③変革を求める野党派が2割。つまり真ん中の5割の人たちが政治に関心をもってもらう事がポイント。そのためには、「このまま声をあげないと自分たちにとって大きな不利益になる」ということをわかりやすく伝えることが大切だという。

これからの地方の議員力としては次の8項目が大切と、相川さんはまとめて下さいました。①使命感のある人、②信頼できる人、③自分の考えがある人、④対話力がある人、⑤冷静に話し合える人、⑥発信力のある人、⑦柔軟な考えの人、⑧フットワークのいい人。ただしすべてを満たすような人はほとんどいない、と。すこしでも「ましな人」を投票では選んでほしいと。

最後に相川さんは今、日本中で注目されている議会が長野県飯綱町を紹介してくれた。相川さんの著書『地方議会を再生する』に詳しく記されているが、2008年から「議会力を向上させ、首長と切磋琢磨する議会」を目標に掲げ、独自の政策、制度設計など斬新な取り組みを進めてきた。地方議会改革のモデルケースとして注目を集めている。

ポイントは、15人の議員が会派などなく一人ずつが自分で考え行動し「議論する力」を磨いてきたという。そのきっかけは「政策サポーター制度」で、発案者は議会改革を主導した寺島渉議長である。政策サポーター制度は、一般住民に実際の政策立案の議論に参加してもらう制度であり、ここで政策を磨いてきた、という。中規模や大規模な議会でいかにこのような改革が成り立つのか、今後の課題といえるだろう。

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