「食文化原論研究会」(京都府立大学和食文化研究センター)で、「森・里・湖に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システムを世界農業遺産として提案することの意図と戦略」という、少し長いタイトルですが、そのものずばり「世界農業遺産」認定をめざす滋賀県の政策を専門家の方々の前で、県庁担当の青田朋恵さんと嘉田とが発表し、たいへん的確なアドバイスをいただきました。9月21日(また長いです)。
特別参加で高島市海津「魚治」の左嵜謙祐さん。地元話でもりあがり、そのあとフナズシの「飯(いい)」を美味しく食べさせていただく中華料理店「大鵬」で宴会。食ジャーナリストの森枝卓士さんの紹介。台風21号の被害を受けて全壊してしまった「湖里庵」の再生について、謙祐さんの未来への力強い思いをきかせていただき、皆で応援させてもらおう、と心をひとつにしました!
また今回の「飯」料理、まずは「琵琶湖産スッポンのから揚げ」。絶妙な味つけで、コラーゲンもいっぱい。琵琶湖に感謝。空芯菜の飯あえもサクッとした仕上がりの菜っ葉にねっとりとした飯が合う。そして最後には頭を炊きこんだ雑炊。フナズシの頭はよくお茶漬けにしますが、雑炊もそのしっとり感と微妙なフナズシ味があいます。左嵜謙祐さん、大鵬の渡辺幸樹シェフさま、ご馳走さまでした!森枝さん、素敵なつながり紹介ありがとう!
さて肝心の発表の方ですが、青田さんが1時間近く「琵琶湖システム」の仕組みを「世界的重要性」の5つの基準「①食料および生計の保障、②農業生物多様性、③地域の伝統的な知識システム、④文化、価値観および社会組織、⑤ランドスケープ及びシ―スケープの特徴」として詳しく解説。たいへんわかりやすかった、という評判でした。青田さん、ありがとう!
私のほうは青田さんの発表のあと、上の5つの基準内容の学術的、研究的エビデンスを、琵琶湖研究史の中で紹介。明治時代からの水産試験場、大正時代からの京大臨湖実験所、そして昭和50年代以降の琵琶湖研究所、平成にはいっての琵琶湖博物館など、県内の研究機関や大学が、いかに上の仕組みの発見・表現する研究をしてきたか等を紹介。
特に生態系についての琵琶湖研究所(今は環境科学研究センター)と歴史・文化と生物多様性を文理連携の横串をさす研究として説明体系をつくってきた琵琶湖博物館の研究などを紹介しました。また滋賀大学や京大も琵琶湖研究では数多くの貢献をして下さっています。
質問では大変重要な指摘をいただきました。元宇宙飛行士で農業者の秋山さんからは、「魚のゆりかご水田」によりどれくらいのフナズシ素材のニゴロブナが増えたか、数値化する必要がある、また農家への経済的見返りがどれだけあるかも数値化すべき、と。
もっともです!ニゴロブナの産卵は、「魚のゆりかご水田」以外に「ヨシ帯造成」「親魚の水田放流」また「琵琶湖水位の維持」など、いくつもの支援政策があり特定化は難しいですが、耳石調査の結果などを参考にトライをする必要はあります。農家経済への見返りも数値化する必要がありますね。特に海外への説明では必ず求められるはずです。
世界農業遺産の登録めざし、まだ一次審査を通ったところです。このあと現地調査、二次審査を通ると日本代表になり、そのあと国際審査。青田さんの感触では「まだ三合目くらい」と。これからも、皆さんの応援、よろしくお願いします。本日の勉強会、声をかけて下さいました京都府立大の佐藤洋一郎さん、同志社大学の新川達郎さん、お世話になりました。ありがとうございました。