「大津の中学校2年生の自殺は“いじめが原因”」と、大津地方裁判所で、被害者救済に道を開く画期的な判決がだされました。息子さんの死を無駄にしないと全国の遺族とつながり地道な活動を続けてきた親ごさんのご努力に敬意を表します。加害側の当時の中学生2人にとっては厳しい判決になりましたが、深く反省して人生を歩んでいただきたいと思います。なお、今後控訴されれば大阪高裁での裁判が続くことになります。2月20日。
今から7年半前の2011年10月11日、大津祭りの翌日に、自ら自宅マンションから飛び降りて命を絶った当時中学校2年生のA君。当時の滋賀県知事として、A君の自殺直後、県の教育委員会を通してスクールカウンセラーの派遣などの支援を進めました。2012年2月に市長が越直美市長にかわり、越新市長は自分もいじめを受けたことがある、ということで当該中学校の卒業式に自ら出かけ、真正面からこの問題に取り組みはじめました。
2012年の7月4日、学内で行っていたアンケート調査の内容がマスコミ経由で公表され、A君が学校で「自殺の練習をさせられていた」という衝撃的な証言が出てきて、にわかにいじめの現場の実態が明らかになってきました。今回の判決での争点となった「ハチの死骸を食べさせようとした」「死ねと日常的に言ってきた」等、情景を想像するだけでも心が痛みます。
この報道が出るやいなや、日本中から、電話やメールで、大津市役所だけでなく滋賀県庁にも大変な数の批判が寄せられました。県としては、すぐに7月11日に「第1回いじめから子どもを守るための緊急対策チーム会議」をつくり、教育委員会に加えて、知事もはいり、医療福祉機関や滋賀県警の協力もあおぎ、事実関係の把握などに努めると同時に大津市の支援を進めました。
2013年度からは「生徒指導対応」、専門家による「研究調査班」、「スクールカウンセラー」派遣事業を予算化して強化するとともに、滋賀県警の中に「少年健全育成室」を新たにつくり20人態勢で全県の学校現場への支援をすすめてきました。2013年2月には県として「いじめ防止条例」をつくりました。また国では、2013年6月に「いじめ防止対策推進法」が成立しました。
またこの事件直後には「インターネットによる人ちがいデマ中傷」「教育長襲撃事件」「中学校爆破予告事件」などもあり、ネット時代の誹謗中傷で全く無関係の方たちが、たまたま加害者と苗字が近いなどの理由から大変なネット被害等に遭いました。
しかしその後も学校現場でのいじめは減る事がなく、子どもの虐待問題と並行して、「子どもたちの安全な生活」を守るため、行政としても力をいれてきました。今回の判決が、今後の日本のいじめの被害者を少しでも減らし、何よりもいじめ加害者側の自覚を促すよう社会的な歯止めになれば、と強く願っています。