Facebook 2017年11月27日

「琵琶湖便り 2017/11/27」「大飯原発再稼働:福井、きょうにも同意、西川知事、世耕経済産業大臣会談」「使用済み核燃料の中間貯蔵施設を来年中に計画を示す」「滋賀県三日月知事:大飯再稼働容認できず、実効性のある多重防護体制が確立されていない」。また極めて長いです(微笑)。

今朝の我が家の前の琵琶湖辺、比良山の麓の浜辺です。「橋板」から琵琶湖水をコップ一杯いただき、湖水で顔を洗って私の朝がはじまりました。気温は17度、湖水は10度、おだやかな小春日和の晩秋の湖辺です。ただ、今日はとうていおだやかな気分で琵琶湖を眺めるわけにいきません。この国の原発政策に対しての深い怒りと不条理感をもって昨日から今日のニュースに触れています。

紅葉まっさかりの比良山の向こう、我が家から直線距離で40キロのところに若狭湾岸の大飯原発があります。雲の流れを見ると、ほぼ連日風は比良山の向こう、つまり若狭湾岸からこちらに流れてきます。つまり琵琶湖も滋賀県も若狭湾岸の「風下」です。万一若狭湾岸で原発事故がおきても福井市あたりへの被害確率は極めてひくい。直線距離でも大飯原発から滋賀県庁のほうが福井県庁よりも近いのです。滋賀県、京都府そして、琵琶湖の湖水を命の水源としている関西地域1450万人の居住地域全域に被害が及ぶ可能性が極めて高いということです。それゆえ私自身は滋賀県や関西圏域を「被害地元」と名付けました。

もちろん、万一の事故の時、最も大きな被害が想定されるのは「立地地元」です。大飯や高浜、美浜、敦賀の皆さんが、万一の事故時の自らの被害の大きさ、つまり家を追われ、故郷を追われ、暮らしをずたずたに切り裂かれ、人生を破壊されるほどの被害を受けられた福島の皆さまの苦しみは他人事ではない、という状況の中で、原発の再稼働を認められた犠牲の精神には敬意をはらいたいと思います。ただ、いつまで原発ずかりの地域経済に依存しつづけるのか、ここは立地地元の皆さんにも勇気をもって孫子世代と関西広域の人たちに責任ある判断をしてほしいと願います。

思いおこせば今から5年半前、福島事故の翌年の2012年3月から6月にかけて、大飯原発3・4号機の再稼働について、滋賀県知事として、また関西広域連合の知事会として切羽つまった議論をすすめてきました。「被害地元」の関西としては、再稼働の必然性が見えないなど7項目の提案を出しました。特に原発再稼働に反対の意思が強かったのは嘉田と山田京都府知事、橋下大阪府知事でした。

この時の民主党野田政権は、大飯原発を再稼働しないと「経済成長が阻害される」「電源不足で病院などで電源不足が起きて命が脅かされる」という「経済と命」への脅しでした。その時の経済産業大臣は枝野幸男さん、原発事故担当の環境大臣は細野豪志さんでした。関西の知事間での足並みが乱れたのは5月中旬に橋下さんが国から(細野環境大臣や当時の経産省の担当者のIさんかと言われておりますが、橋下さんから直接確認はとっておりません)の説得に流されたことで大きく流れがかわりはじめました。

2012年5月19日の関西広域連合会議でこの曲がり角議論がなされたのですが、私はすでに中国出張がはいっていて欠席で発言ができませんでした。そして5月30日には鳥取での広域連合会議に細野大臣が自ら来られ、どうしても経済、命の問題があるので、夏だけの「限定的再稼働」という流れを提案し、そこで、広域連合としての合意がだされました。今から思うと私自身も力不足だったと反省しています。

2011年3月の福島事故以降初めての原発再稼働であり、2012年7月5日に3号機が、7月21日には4号機が発送電を開始しましたが、関西広域連合としては15%という節電目標は一貫して守りぬきました。大飯原発の再稼働により、節電数値目標は中部・北陸・中国エリアでは撤廃、四国では7%から5%に緩和され、再稼働により節電の世論に水を差したことになります。

実は今日11月27日は、まる5年前の2012年11月27日、私自身が飯田哲也さんたちと「卒原発」を訴えて「日本未来の党」を立ち上げ、党首として衆議院選挙をたたかう決意を記者会見したその日でもあります。当時、原発反対の衆議院議員が100名近くいたのですが、その乗る船がない、ということで、やむにやまれぬ決断をしたものです。知事現職でありながら国政政党の党首という、二足のワラジに挑戦しました。

その時に表明した「琵琶湖宣言」では、福島事故後はじめての国政選挙で、地球市民として地球の一部を放射線で汚してしまったその責任を問わないのは倫理的・道徳的にも国家の品格を失う、というある意味道義的な表現でした。ドイツでの原発ゼロ政策を意識しての発言です。あわせて日本海側でも地震や津波の危険性は高く、過去の歴史的事実(天正地震等)をふまえたら決して安心できるものではない、という自然災害のリスクです。

その時には飯田哲也さんたちが主となって、「卒原発」の工程表も出しました。「社会的仕組み」「3年間の経過措置」「中長期プログラム」です。当時、原子力損害賠償金額を20兆円に引き上げるという提案に対しては「過大」とひとことでかたづけられましたが、事故後6年以上たって、まだまだ廃炉の見通しもたたず、汚染水処理にさえ手をやき、故郷を追われた人たちの暮らしの再生はなりたっていない。20兆円をもこえる被害が想定されています。使用済み燃料の総量規制も提案。トイレのないマンション状態から本質的な脱却はできておりません。小泉元総理が主張なさる通りです。ここも私自身の力不足で、未来の党が惨敗におわり、琵琶湖宣言の実現にはいたりませんでした。

今、まる5年たって、まさに今、琵琶湖の自然に寄り添ってくらす住民として若狭湾岸の原発再稼働への疑問はいっそう高まっています。理由はみっつです。ひとつは5年前に「再稼働しなければ経済がダメになる、命があぶなくなる」と再稼働の理由にされた、そのような被害は実際に出ていないということです。過去6年間、原発による電力供給は1%ほどしかありません。電力会社の経営問題だけで国民を原発のリスクにさらすことは国家としての判断として容認できません。

二点目は、今、北朝鮮の軍事的拡大行動で、安倍さんも「国難」と言っているミサイル問題、ミサイルが万一若狭湾岸の原発におとされたら、本体に命中しなくても、電源が切断されたら大変な被害です。安倍政権のまさにあべこべの政策には納得できません。北朝鮮のミサイルが危険といって首都圏の電車を止める前に原発を止めるべきでしょう。それが国民の生活と命を守る総理大臣の責務でしょう。憲法9条で「自衛隊を国防軍に」というような憲法問題以前に原発のリスクを減らす方が国民の切羽詰まった問題意識でしょう。

あわせて、稼働すればするほど蓄積され次世代に付け回しされる「使用済み核燃料問題」です。今回の福井県の再稼働容認の条件に、「関西電力が中間貯蔵施設を来年中に計画を示す」ということですが、一電力会社に国民の命の安全にかかわる判断ができるのでしょうか。「日本未来の党」の「卒原発工程表」にも示したように、使用済み燃料の「総量規制」をし、「乾式貯蔵システムの技術の確立と場所の決定」が必要です。

三日月知事は、2014年の知事選挙での公約通り「実効性のある多重防護体制が確立されていないかぎり、再稼働は容認できない」ときっぱり発言しています。2018年、来年は滋賀県知事選挙。安倍自民党政権は2014年の知事選挙と同様「原発再稼働に賛成する知事を滋賀県で実現」という方針のもと、対立候補を送りこんでくるのでしょうか。県民としておおいに気になるところです。皆さんはどう思われますか。

先頭に戻る