Facebook 2021年2月12日 森喜朗東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長がご自身の女性蔑視と受け取れる発言をめぐり責任をとって辞任を表明されました

2月12日、森喜朗東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長が、ご自身の女性蔑視と受け取れる発言をめぐり、責任をとって辞任を表明されました。国内だけでなく、国際的にも、特にIOCからも強い批判をうけ、ご決意なさったのでしょう。がん闘病などをおして、83歳というご高齢でご尽力いただいてきた森氏の貢献には敬意を表させていただきます。ご苦労さまでした。2月12日。(2200文字、長いです、スミマセン)
実は1昨日、2月10日に、萩生田光一文部科学大臣と、橋本聖子女性活躍担当・内閣府特命担当大臣に、五輪担当、スポーツ行政担当の国務大臣として、今回の発言に対して組織的対応をとっていただくよう、参議院会派碧水会として、ながえ孝子議員とともに要望させていただきました。文部科学省では、三谷英弘文科大臣政務官・内閣府大臣政務官、内閣府では畠山貴晃西村大臣室長参事官が対応くださいました。
文部科学省三役会議でも問題意識を共有しており、東京オリンピック・パラリンピック協議大会は広義の「共生」を目指すが、大会組織委員会は、政府とは独立の組織であり命令はできないという。内閣府でも問題は共有しており、特に政治とスポーツ分野での女性参画は、日本は国際的にもたいへん出遅れており、橋本大臣も大変気にしているが、命令できる立場ではないという回答。当然の回答でした。
ふりかえってみると、私自身、滋賀県知事時代に思わぬ批判を森喜朗さんからいただいたことがあります。2007年の7月でした。新幹線の栗東新駅中止をかかげた政策に対して「女の人だなぁ、やっぱり(視野が)狭いなぁ」と言われ、「言葉尻をとらえて女性蔑視という反論はしませんが、新駅不要と判断したのは男性、女性関係なく、県民の皆さんです」とお応えした記憶があります。
実は森さんとはじめて直接出会ったのは新幹線批判をされた直後の2007年9月13日大津プリンスホテルです。滋賀県が誘致していた「日本スポーツマスターズ2007びわこ大会」に日本体育協会の重鎮が起こしくださりオープニングイベントをしました。その開会式で鏡割りをした写真が残っています。森さんの隣に主催者代表として赤いハッピをきて手をたたいているのが私です。ひとりおいてその横におられる背の高い女性が木原光知子(きはら みちこ)さんです。
その時改めて体育系組織の男性中心主義を見せつけられました。というのも、この開会式直前に、木原光知子さんと名刺交換をしました。名刺には「日本体育協会理事見習い」とありました。「理事見習い」などという役職、見たことがありません。私はびっくりして尋ねました。「木原さんほどの選手としての実績に加えて、社会活動の実績がある人がなぜ“見習い”なのですか?」と。私たち同世代の女性にとって、木原さんは1964年の東京オリンピック選手からその後の社会活動へ、と常にとっても光っておられる女性アスリートのモデルでした。
木原さんは「女性理事の前例がないので見習いからと森代表に言われた」ということ。その晩、かなりふたりで日本の体育界、スポーツ界の男性原理について、大津プリンスホテルの32階のバーで、琵琶湖の夜景を眺めながら話しこみました。
その1カ月後の10月18日に木原さんは、くも膜下出血で倒れて、帰らぬ人となってしまいました。もっともっとお話ししたかったです!私は一度しか木原さんと直接にお話できなかったのですが、私自身、2014年に滋賀県知事を引退した時、びわこ成蹊スポーツ大学学長のお話をいただいた時に、木原さんたち、このスポーツ世界の女性先駆者の無念な思いを少しでもこれからの未来につなげたいと思いました。「政治とスポーツ」この二大女性差別社会に切り込みたいと。こじんとしてより社会的組織文化としての問題です。
びわ湖成蹊スポーツ大学での学長としての女性支援活動については、もしお時間がありましたら、「嘉田由紀子FB2016年1月25日」をご覧ください。「滋賀の女性アスリートフォーラム2016」での私の女性アスリート支援の方法と決意をのべています。特に健康保持のための「低用量ピル」の活用について、詳しく説明しています。
今回の森さん辞任後の会長後任について、川淵三郎さんに密室で森さんが頼んだということで、その決め方が問題になっています。当然でしょう。密室でボス交渉をすること自体が、国際的にもあやしまれているのです。ここは日本社会の透明性を高め、国際的にもわかりやすい決め方で代表後任者を選んでほしいです。
これを機にと、オリンピック開催の是非が議論されていますが、私はコロナ対策を十分とったうえで、東京オリパラは開催してほしいと思っています。まずは、オリンピック憲章にのっとり、特に国際的にみたら、121位という低い男女平等度の汚名をそそげるような、多様性あふれる、日本の文化や自然の価値も発信できるオリンピック開催を実現してほしいです。
知事退任後の3年間のびわスポ大の学長時代にも、アスリートの皆さんの頑張りをみてきました。池江璃花子さんのように、白血病から再起してきた姿をみると、やはり応援したいです。卓球女子の平野美宇さん、伊藤美誠さん、石川佳純さんも期待したいです。陸上男子100メートルの期待の星、桐生祥秀さん、女子水泳の大橋悠依さんや、パラ水泳の木村敬一さんは滋賀県出身です。悲願のメダルへ、それぞれに頑張ってきたアスリートの人たちの思いに応えるためにも、大会は開催されることを期待します。
アスリートファーストで!
先頭に戻る