10月19日 台風19号被害の背景と今後の対策案:その2

<利根川上流の八ッ場ダムの建設効果をめぐる自民党系と旧民主党系の言い分を治水政策論として検証しよう!>10月19日。

東日本豪雨の10月12-13日にかけて、利根川上流の八ッ場ダムがほぼ完成して、試験的貯水で、水を溜めてくれたので、首都圏が洪水から守られた、という意見がネット上でひろがっています。また自民党系の政治家は「だから八ッ場ダムをつくってよかった」という論調になっています。

一方で、2009年に政権交代をして、八ッ場ダムの見直しを提案した民主党系のある政治家は「ダム推進派は八ッ場ダムのお蔭で利根川を守ったと強調しているようだが事実ではない。八ッ場ダムがなかった場合水位は17センチ上昇したに過ぎず、氾濫は考えられない」と記しています。

今回、八ッ場ダムがどのような役割をしたのか。図2をみていただくと、埼玉県と東京都の境界近くの久喜市栗橋での水位低下効果は17㎝です。利根川の当時の最高水位の9.67mが、八ッ場ダム貯水がなければ9.84mになったという計算です。ただ、この地点での安全に水を流せる堤防の高さは12メートルあり、それよりはるかに低く、八ッ場ダムの貯水がなくても利根川の堤防破壊は起こらなかったであろうと、言えます。

また図3を見てください。ダムが完成した時のダム運用規則は、まず「洪水期」と「非洪水期」にわかれ、今回の台風19号が関東地方を襲った10月12日は「非洪水期」であり、治水容量はゼロであり水道用水と工業用水といわゆる「維持用水」です。つまり、今回はたまたま「試験運用」だったので、7500万トンを治水に活用できたので、これは極めて例外的で、今回限りの治水機能発現だった、といえます。

またダムによる治水はたまたまダムの上流に降る雨しか溜められません。利根川全体の治水安全度を高めるためには、今回の水害で弱さが露呈してしまった堤防強化のほうが、流域全体の安全性を高めることができます。八ッ場ダム建設費の5600億円を堤防強化にむければ単価コストにもよりますが、1000キロの堤防補強ができるというデータもあります。これは右岸と左岸、両岸を強化したとしても322kmの利根川全体をカバーすることができます。

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