Facebook 2019年9月12日 九州ダムものがたり(その5)

九州ダムものがたり(その5:「公共事業は理に叶い、法に叶い、情に叶わなければならない」)。9月12日(1000文字)。

九州の築後川上流に下筌ダム(しもうけダム)があります。ここは昭和28年6月の九州豪雨の甚大な被害を受けて、その対策として1958年(昭和33年)に計画された多目的ダムですが、地元水没予定地域住民の抵抗は「蜂の巣城紛争」と呼ばれ、室原知幸さんが中心になり13年間の抵抗運動を繰り広げました。その室原さんが残した言葉が「公共事業は理に叶い、法に叶い、情に叶わなければならない」です。私も知事時代自らに課した「座右の銘」でもあります。

今回石木ダム地域で問題となっている土地収用(とちしゅうよう)とは、日本国憲法第29条第3項「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる」に基づき、公共の利益となる事業の用に供するため、土地の所有権その他の権利を、収用委員会での審理や裁決など、一連の手続きを経てその権利者の意思にかかわらず、国又は地方公共団体等に強制的に取得させる行為をいいます。

石木ダムの場合「公共の利益となる事業の用に供するため」が極めて重大な問題です。確かに事業認定などの「法的手続き」は行政的にすすめてきました。室原さんがいう「法に叶う」という条件は満たしているでしょう。しかし、「理に叶っているか」となると、前回書いたように、利水や治水、いずれも納税者である国民が納得できるような説明責任は果たせていません。

8月20日、宿泊させていただいた「こうばる」住民の岩本すみ子さんは「私たちはここをうごかない。毎日、まいにちこうしてすわりこみ続ける。県が来ようが国が来ようが私たちはうごかない」と強い決意で語っておられました。すわりこみ小屋には以下のような記述がありました。

―――――――――――――――――――――――――――――
「収用法」は伝家の宝刀ではなく、“鉈(なた)”である。
返り血も浴びる。
何回もふりまわさねばとどめはさせぬ。
またそれで全てが終わるわけではない。
これからが苦しみの始まりである。
――――――――――――――――――――――――――

「公共事業は理に叶い、法に叶い、情に叶わなければならない」。「こうばる」地区の皆さんの情に応えられる人は長崎県の中村法道知事しかおりません。この事業をやめても水道水に困る人が出てくるわけでもないだろうし、また洪水対策の代替案もあります。そのような多目的ダム事業は、今の時代の理に叶っていない大型公共事業の典型です。知事経験仲間として、中村知事の「情に叶う」判断を強く、つよく期待します。

9月17日の国会での総会、9月19日の長崎の応援行脚、また報告させていただきます。

#公共事業チェックの会 #長崎県 #石木ダム #知事面会 #強制収用 #基本的人権
#理に叶い、法に叶い、情に叶い公共事業を!

先頭に戻る