Facebook 2014年9月10日

日本水環境学会シンポジウム
特別講演会「いま、求められる水環境研究とは?~滋賀県・琵琶湖からのメッセージ~」

9月9日(火)、朝から滋賀県立大学で上記の学会講演会で、「社会に役立つ研究とは?~研究者と知事を経験してみえたこと~」として次の5項目を柱に講演をさせていただきました。

(1) 科学は世の中を便利にしたが、同時に失ったものもあった(琵琶湖総合開発の例など)
(2) 生活知と科学知を融合する(“うおじま”を再現した「魚のゆりかご水田」など)
(3) 科学知を行政に活かす(水害リスク、放射能被害リスクを災害対策に活かす)
(4) 問題の複雑化・多様化と研究の横つなぎの仕組み(森林、河川、里、水田から琵琶湖へのつながり研究)
(5) 水環境研究(者)への期待

行政は「政策手段:HOW」(法律制度や予算確保、技術的選択)は得意であるが、「政策原理:WHY」(科学的原理、人びと・社会の願望、必要性、歴史的文明観、社会哲学)への配慮は薄い。研究者の知識・理念と行政・政治的方法がつながれてこそ、人びとのニーズに即した政策が実現できる、とまとめさせていただきました。

結論としては、私自身研究者であったからこそリスクに基づいた災害対策や、生活知と科学知をつなぐ政策を知事として自信をもって遂行できたことをお話させてもらいました。

そのあと、研究者の立場から、滋賀県立大学の井手慎司さん、企業の立場から、(株)日吉代表取締役社長の村田弘司さん、市民の立場から、結・社会デザイン事務所代表の菊池玲奈さんがそれぞれの立場から個別報告を行いました。

最後には内藤正明 琵琶湖環境科学研究センター長のコーディネーションで、「いま、求められる水環境研究とは?」として、会場からの質問もふまえてディスカッションを行いました。

市民の知識や知恵、願望を暮らし言葉で発信してもらい、それを研究者の分析的原理につなげ、行政政策につなげる、その一連の「つなぎ役割」を水環境研究者に挑戦してほしい、という呼びかけとなりました。

実際に滋賀県では、石けん運動の時代からの多分野連携を背景に、琵琶湖研究所、琵琶湖博物館の建設・運営、そして今「マザーレークフォーラム」等での市民、研究、行政の連携が実践され、今や「滋賀モデル」として海外への展開も始まっています。

本日のメンバーは普段からつながっている面々で、滋賀県らしい企画になったと思います。全国からこられた皆さんの感想をまた伺いたいものです。

全体の企画、運営を差配してくださった琵琶湖環境科学研究センターの佐藤祐一さん、ありがとうございました。

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