Facebook 2015年3月1日

3月1日。「熱いハート」と「冷たい頭」が補完しあった見事な環境フォーラムに参加(長いです)。

びわこ豊穣の郷・守山市主催の「川づくりフォーラム」「こなん水環境フォーラム」の合同会議で、「近い水、遠い水、水の恵みと水の災いー学者40年・知事8年の経験から」基調講演。半日のフォーラムに最後まで参加しました。

まず地元の女性たちによる「ヨシ笛コンサート」で、琵琶湖への思いを音楽で実感。

私の基調講演では1時間をかけて、次の5項目で講演。

1.なぜ滋賀県知事を引退したのか?
2.研究者として、「近い水」が「遠い水」へかわる、そのプロセスを地元住民からまなび、住民視点をふまえた環境政策理論を提示。
3.「近い水」による「人と湖のかかわりの再生」を求めた滋賀県知事への挑戦と琵琶湖政策 。
4.水は恵みだけでなく「災い」も。住民自身の「自助」「共助」から学び、日本で初のハードだけに頼らない「流域治水条例」を制定。
5.「近い水」を取り戻すための「マザーレーク」計画と住民参加の仕組みづくり。
<参考>原発「被害地元」からの「卒原発」への思いと願い。

この講演に対して、びわこ環境科学研究センターの佐藤祐一主任研究員が「旗揚げアンケート」を実施。講演で最も重要なメッセージはとみっつの選択しから選んでもらいました。結果は「嘉田の成果や苦労」(16%)、「暮らしと水のかかわりの意味発見」(57%)、「近い水を自分たちで取り戻そう」(27%)、という感想。これまで私自身、類似の講演をしてきましたが、今回の評価は大変ありがたいです。

というのも、個人的な経験をかなり多くいれた講演でしたが、そのメッセージをより普遍化して受け止めていただいた方が多くて安心しました。つまり、最も伝えたかった「暮らしと水のかかわり」の意味を半分以上の人が認識していただき、そして30%近くの人がその認識に応じて「行動しよう」と思っていただいたことです。

知事時代には個人的経験は語るのをはばかりましたが、こうして知事引退をして、自由な立場になると語りやすく、伝えやすくなることがわかりました。

そのあと、守山市の吉身小学校の子どもたちが「学校ビオトープ」でいかに湧水に恵まれた自分の学校で生き物とかかわっているのか発表。守山駅前の勝部自治会は、800年以上続く勝部神社の「火祭」を維持しながら、元々の水田地帯を潤していた水路が今やビル街になり、いかにその水を「親水」「知水」「防災」に活かしているか、という大変行動的な発表を下さいました。滋賀銀行は、環境CSR活動として定着させてきた、「琵琶湖固有種放流」「ヨシ帯保全」「学校ビオトープ支援」などの活動の循環的意味を発表くださいました。

次は関係30団体のパネル展示。パネルを見る人それぞれが付箋で意見を表示し、対話をする、という仕組みも工夫されていました。

最後は、協議会会長の松沢松治さんたちが骨を折って実現した「琵琶湖の漁師料理を囲んでの交流会」です。「においの少ない鮒ずし」「骨まで軟らかい酢漬けホンモロコ」などとともに「セタシジミの味噌汁」。1年ものから5年ものまでの大きなシジミまで賞味。5年ものは長い間出会えていませんでした。シジミも蘇りつつあることを実感。うれしいです。

全体として、「対話と共感の仕組み」が重層的に活きて、工夫いっぱいのフォーラムとなっていました。

このようなフォーラムを実現できるようになったことが、「マザーレーク」政策の住民実践でもあります。感性的生活知による「右脳」的な「熱いハート」表現と、客観的科学知による「左脳」的な「冷たい頭」理解、その両方が補完しあってこその環境政策であり環境保全のための住民活動であることをまさに実感できるフォーラムでした。

主催し、準備くださった皆さんに深く感謝申し上げます。

 

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