Facebook 2015年4月15日

第7回世界水フォーラム、韓国大邱に参加。4月14,15日。(長いです)

14日には、滋賀大学の久保先生が大邱の啓明大学と共同で企画をした、統合的流域管理のセッションに、兵庫県の井戸知事、滋賀県の西嶋副知事等と参加。

Riverという言葉が、語源的にRivalから派生していると言われるように、河川はもともと地理的対立(上流対下流、右岸対左岸) や目的別葛藤(治水、利水、生態系、文化保全等) を内包しやすいものです。

琵琶湖・淀川水系も例外ではありません。そこで今回の発表では、まず、高度経済成長を挟んで下流の利水・治水機能を高めるために国家的事業として行われた琵琶湖総合開発をはさんで、琵琶湖畔におきた変化を、生活環境史の視点から辿りました。

琵琶湖総合開発では、下水道の整備による琵琶湖への負荷量カットや、土地改良による農業生産基盤の充実など、成果はあがっています。

しかし一方で、予想しない影響がありました。それが生態系破壊と、人びとの湖との関係性の切断です。具体的には固有種の魚介類が育つ生態系を大きく破壊し、同時に人びとの水との関わりを切断し、社会意識としての「近い水」を「遠い水」へとかえたことを具体的事例から辿りました。

そして、今、生態系の回復を図り、また住民目線から「遠い水」を「近い水」にかえていくための滋賀県での「水田での魚のゆりかご作戦」や「干拓化した水田の内湖化」や水文化を守り次世代につなぐ、カバタ文化や文化的景観政策等について詳述しました。

そして、上下流の利害を包み込んで、流域全体の統合的管理に向けては、工学的なハードウェア、経済・行政制度というソフトウェア、に加えて、人びとのメンタルな領域まで包み込んだハートウェアが重要なキー概念になるのではないか。そのとき、個別の既存利害関係から自由な、関西広域連合のような組織が果たす役割に期待をしたいと結びました。

15日の市民参加セッションでは、「水の文化、正義、平等」という場で、環境研究者がなぜ知事に挑戦したのか?を語りました。一言で言うと、昭和30-40年代に琵琶湖水を直接飲み水にし、固有魚介類があふれるほど生息していた、その生態系と住民や地域による「水の自主管理」と「湖への人びとの信頼」を取り戻したかったからだ、と。

二期八年でその方向はかなり見えてきたので、今は琵琶湖畔の大学で、学生に「琵琶湖水を飲もう!」と仲間づくりをはじめたことを話しました。数分間のショートメッセージでしたが、自然水への信頼感をほとんどもっていない欧米の方にはショッキングな発信だったようです。

世界水フォーラムは2000年のオランダ、ハーグでの第二回会議に参加し、第三回の関西での開催では「世界子ども水フォーラム」を組織化しました。2006年のメキシコでの大会以来、知事時代は3月議会中で参加できませんでした。今回の第7回は、滋賀県としては広域連合やまた県庁内の水関連部局がかなり参加しています。それぞれのところからの報告もあると思います。

 

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