Facebook 2015年5月11日

5月8日。三日月知事が長浜市旧木ノ本町のトチ巨木林を、藤井勇治長浜市長とともに現地視察。トチノキ「守る責任」を公言!(長いです、ごめんなさい)。

大変心強い三日月知事の発言。そして地元の藤井長浜市長も同行、というところがいっそう心強いです。

2010年頃より滋賀県内のトチノキの巨木は、建設資材としての価値が注目され、奥山から伐採され、ヘリコプターでの運び出しという危機に直面してきました。

高島のトチ巨木がそれぞれの個人所有者から伐採業者にかなりの廉価で(具体的には1本5万円)売却され、数十本がすでに伐採された、という情報を2010年の夏に得て、知事の責任として県ではまずは巨木を登録して、伐採をされずに保全する仕組みをつくりました。この時、情報取得から登録制度までつくったのは森林政策の県担当者です。職員の力は大きかったです。

県としては予算措置をして、まずは1本5万円の予算補償をしました。また地元高島市と連携をし、地元所有者、保全団体の皆さんと協力をして保全の仕組みをつくってきました。売却契約の破棄など、いわば民法的な違約金の支払いが必要になりました。

ここについては、厳しい法的手続きをへて、日本中の皆さんの協力で違約金を寄付していただき、1000万円をこえる寄付が集まり、伐採をのがれました。そして地元の団体の皆さんが、トチ巨木の生態と文化を価値づける活動を地道に続けてくれております。たとえば、下流の湧水の里、針江と上流のトチの木をつなぐ活動などもすすめてもらっています。

ただ、この滋賀県の施策は時限措置だったので、昨年から、三日月県政にはいってからですが、森林条例を作り直し、巨樹・巨木の保全を埋め込んだ法制度をつくりました。これは2014年7月の「三日月マニフェスト」に明示されている政策です。

問題はこのあとの具体的な保全の仕組みです。特に地元の森林関係の皆さんにとっては、杉・檜と同様、樹木は伐採をして経済的に成り立たせるもの、という考えがあります。私有林ゆえ、所有者の判断が真っ先に優先されます。樹木を伐採せずに残して利益を得ることをどう具体的に納得していただくかが課題です。

最低限、業者に売却された販売金額(1本5万円から今はかなりあがっていて10万円とか15万円など)は確実に補償できる金額を確保しました。その上での長期的な地元への経済利益の提示が必要です。

たとえばトチは毎年花から得られるハチミツだけで巨樹一本から10万円近くの利益があります。また巨樹を見学したい、という人びとがおられたら、巨樹ツアーというエコツーリズム的な活用も可能となります。

ただ、そのためには地元での受け入れ組織づくりをふくめて、そもそも巨樹がそこにあるだけで短期的、長期的にどのような経済的なメリットがあるのかを示す必要があります。そのメリットの受益の仕組みを工夫する必要もあります。

水源林として、また治山治水の価値はありますが、これは下流の人にとってであって現場地元の巨樹所有者には直接の利益にはなりません。下流の皆さんから、「水源税」などをいただくこともひとつの方法です。その水源税で、地元の巨樹・巨木の維持管理活動費の負担なども工夫できます。

というなかで、今回の三日月知事、藤井市長、そして地元杉野地区の松本市議の皆さんが一緒に現地視察をし、地元の森林組合の皆さんも交えて意見交換をしたことは大きな希望の一歩と思います。

是非多くの皆さんの関心を持ち続けていただきたいと思います。

BBCニュースを転載します。

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