Facebook 2016年3月20日

「三方よし研究会」(地域まるごとケアネットワーク)100回記念研究会に参加、全国にひろがった自称「子三方よし」メンバーも集合。懇親の場で知事時代のなつかしい面々と再会。うれしい3月19日でした。

近江商人の「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の三方よしの理念に習い、「患者よし」「病院にもよし」「地域にもよい」多職種連携の医療福祉ネットワークが「三方よし研究会」です。

2007年(平成19年)9月に東近江保健所に集まった医師・看護師・保健師・理学療法士、歯科衛生士など立場が異なる人たち。その専門性と、顔と顔がつながる思いに生かされ、入院治療から在宅医療に至るまでの切れ目のない医療福祉の供給体制をつくりあげてきました。

「時間外」「ボランティア」ベースで最初40名ほどからはじまった月1回の会合はだんだんにメンバーが増え、最近は100名を超えることも多く、医療福祉の供給側だけでなく、患者やその家族など地域住民までまきこみ、今や東近江をモデルにと全国に仲間が広がりました。

100回記念の今日は、日本の介護保険制度づくりなどでジャーナリストとしての豊かな経験を活かしてきた大熊由紀子さん、高齢者の在宅看取りの仕組みをひろげる高齢者住宅財団理事長の高橋紘士さん、厚労省保険局長の唐澤剛さんからの発表やディスカッションも企画されました。

これまでの100回の研究会を医師としてひっぱってきて医師会の「赤ひげ大賞」を受けられた小串輝男さん、「私の専門は永源寺」と言って日々、地域の在宅支援に走りまわる花戸貴司さん、「地域ネットワークの影のつなぎ手」、小梶猛さんなどとも久しぶりに出会い、楽しい語らいの場となりました。

懇親会でのあいさつを依頼され、以下のような話をさせてもらいました。

私自身かねてから日本の地域コミュニティや家族研究を進める中で、かつて家族の中にあった生老病死が、専門機関にまかされ専門職の手を経ないと全うできなくなった今の時代の問題を感じていました。医療や介護、各種福祉制度が充実され、寿命は長くなりありがたいことです。ただ「病は病院で治せますが、老いは病院では治せません」。

2006年に知事に就任直後から、医療や介護、福祉などがどうしても縦割りでサービス供給側の都合で制度が成り立っていることが気になり、患者目線、生活者目線の医療と福祉、介護に横串をさす政策が必要と考えていました。

その時、この「三方よし」のグループ活動を知り、東近江から全県に広げてほしいと当時の東近江保健所の角野所長に県庁に異動してもらい、同時に東大の辻哲夫さんたちにお願いをして医療福祉懇話会を開き、県としての横串実現の方針をつくりました。

2010年の二期目の知事選挙では、高齢化時代の問題を真正面に据えて、「死の問題をタブー視しない、幸せに死ねる滋賀県、終の棲みかとなる滋賀県にしよう!」と呼びかけました。立会演説会などで最初おずおずと訴えていましたが、どこの会場でも皆さんが本気に耳を傾けてくださり、これこそ多くの住民の方にとって切実な政策なのだ、と理解を深め、二期目の政策づくりの柱のひとつにしました。

限るあり人間の命。100年という時間スパンをとれば「死亡率はほぼ100%」。多死時代の今の日本、高齢者にも若い人にもそして社会全体によし、といえる「大往生の幸せな死」を皆でたたえあえる社会にしたいものです。ラディカルすぎるでしょうか?皆さんのご意見、いかがでしょう?

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