Facebook 2015年10月5日

日本環境会議滋賀大会「地域環境保全と原子力発電ー滋賀からの発信」が10月3日(土)、琵琶湖畔のびわこ成蹊スポーツ大学で開催されました。

講演とディスカッションの最後に、下記のような大会宣言を採択し、同席くださった三日月大造滋賀県知事にお渡ししました。

今後も国の関係機関にこの宣言をお届けしていきます。

すこし長いですが、参考までにここにアップします。また京都新聞の記事も紹介します。(長文失礼)

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日本環境会議滋賀大会シンポジウム・アピール
「原子力発電のない持続可能な地域社会をめざしてー琵琶湖からの宣言」

2011年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故(福島原発事故)により、福島県を中心とする広範な地域が放射能で汚染されました。
これは、政府、電力会社が安全神話にとらわれ、無闇に原子力開発を推し進めてきた結果引き起こされたものです。事故の直接的影響を受けた地域では、2015年9月時点で、いまだに約11万人もの人々が避難を余儀なくされ、非常に困難な状況に置かれています。原子力発電には、人々が暮らす地域の基盤そのものを破壊する本質的危険性があります。にもかかわらず、政府・電力会社は、九州電力川内原発1号機を皮切りに原発を次々に再稼働させ、原子力発電を復活させようとしています。これは原子力発電によるリスクを一層高めるものであり、決して許されるものではありません。

滋賀県は若狭の原発群の南に位置し、原発30キロ圏には琵琶湖を含む広い範囲が含まれています。若狭の原発で過酷事故が起これば、滋賀県には直接的被害が及びます。また、滋賀県だけでなく、琵琶湖の水を利用する関西一円1450万人もの人々の暮らしや関西の経済活動に放射能汚染の甚大な影響が出ることも避けられません。関西の水源として琵琶湖の代わりはありませんが、関西にとっての電源の代わりはあります。事実、過去4年以上、住民や事業者の協力による節電や再生可能エネルギーの普及により、極暑の真夏のピーク時も乗り切ることができました。

また、滋賀県をはじめ地元自治体が努力しているにもかかわらず、実効性ある避難体制もまだまだ不十分であることは、本シンポジウムでも具体的に語られた通りです。そもそも琵琶湖そのものを避難させることはできません。原子力規制委員会によって作られた新規制基準によって地域の安全性が確保されているとはいえません。私たちにとって、若狭の原発の再稼働に道理はありません。

同時に、私たちは、若狭の原発によって得られる電気の恩恵を享受する一方、若狭の人々に大きな重荷を負わせてきたことにも目を向けなければなりません。若狭で原発開発が進められてから50年近い歳月が流れようとしています。これほどまでに長い間、若狭には世界に類をみないほど多数の原発が置かれてきました。若狭の原発立地地域では、原発なくしては成立しえない社会が形成され、原発再稼働に懸念を表明することすら困難です。

しかし、政府・電力会社が原発再稼働を進め、原子力の復活をはかろうとしたところで、将来にわたって原発を維持することは不可能です。今ある原発は、近い将来次々と廃炉を迎えます。原発のない地域が出現しようとしているのです。私たちは、このような現実の中で、立地地域が抱える問題の解決策を立地地域の人々とともに考え、原発のない持続可能な地域社会への道を切り拓かなければなりません。

原子力発電が放射性物質を大量に使用するものである以上、過酷事故が発生する危険性だけでなく、放射性廃棄物処分、廃炉にともなう困難もまた避けられません。私たちは、原発を再稼働させることなく、原発ゼロ社会に向けて政策転換を図ることが、持続可能な社会にいたる第一歩であることをここに強く訴えます。

2015年10月3日(土)
日本環境会議滋賀大会シンポジウム参加者一同

http://www.kyoto-np.co.jp/environment/article/2015100400002

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