志村ふくみさん、文化勲章、おめでとうございます!!11月3日
滋賀県、近江八幡生まれの92歳。矍鑠として現役で、草木のもつ自然の色の力を引き出し、私たちに「しむら流 美の世界」を見せてくださいます。
もともと農家の女性たちの「暮らしの美の奥深さ」に魅せられ、お母様の小野豊さまからの技術と感性を受け継がれ、みごとな「色の魔術」を見せてくださいます。
見るだけではなく、そこに「色の言葉」を重ね合わせ、日本文化には1000を超える多様で微妙な「色表現の言語文化」があることも思いおこさせてくれます。
昨年の「京都文化賞」の受賞記念の折、会場の聴衆に語りかけて下さったのは、日本文化に固有の自然の色文化、自然の奥深さを次の世代に伝えるためにも、原発事故を二度と起こしてはいけない、という切なる自由な語りでした。
昨日の皇居での勲章の親授式。皇后様は志村さんが染められた絹糸の色見本のつまった和ダンスをとても気にいっておられるということ。今もお蚕さまを皇居で育て続ける皇后様とどんな会話が弾んだのか、想像をかきたてられます。
お蚕さまを日々慈しみながら育て、私の学費を稼いでくれた養蚕業に汗流した埼玉の母、明治以降の日本の産業振興の原資を稼いだのは、生糸輸出を支えた養蚕農家の女性の働きです。
世界遺産登録された群馬、富岡製糸工場を支えた養蚕農家の女性達、その女性達が、身の回りの草木の色で染め上げながら自然の色との対話から生まれた美の世界。
暮らしの経済、国家の経済、自然の成り立ちを映し出す美の世界、志村さんが紡ぎ出した美の世界は奥深いです。
最後に、滋賀県近江八幡の「ムベ(郁子)」と東近江の「あかね(茜)」で染めていただいた「蒲生野」の作品。藍で染めた「春の湖」とともに我が家の宝物です。孫娘たちにつないでいきましょう。