2025年3月25日【災害対策特別委員会】確定稿

2025年3月25日災害対策特別委員会(確定稿)

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。
私の方は、先ほどの木戸口委員の質問と関わってきますけれども、防災庁の設置準備について、特に組織的なところを中心にお伺いをしたいと思います。
私自身も、地域社会学者として地域を歩きながら防災計画を作り、それを知事として実践をしてきたんですが、まだまだ日本の場合に都道府県でやれることは限界があります、全力でやったんですけど。それで、どうしても国にもっと総合的な、まさにアメリカのFEMAのようなところをつくっていただきたいと願っていたんですが、今回その企画が動き出したということで、大変心強く思っております。
その中で、特に組織のつくり方ですね、まず、一月三十日から既に防災庁の設置準備アドバイザー会議開かれたということで、二月十七日にはその第二回会議、その中の議事録と、それから委員さんが提供してくださった資料を見せていただきますと、それぞれ大変有効な御意見をしていただいているんですけれども、特に組織の在り方とその組織をつくるための法律、そこを是非今回確認させていただきたいと思います。
菅野さん、菅野拓さんですね、「災害対応ガバナンス」という著作も出しておられますけれども、例えば市町村とか自治体ですと、ある地域、たまにしか起きないんですよね、日本全国だとどこかで起きているけど。ですから、なかなか当事者意識が持てない。そういうところで、餅は餅屋で、専門家、専門組織を平時から養成する必要があるだろうと言っております。今、特にこの災害対策を規定している法律、一つは災害救助法、一九四七年、昭和二十二年、戦後間もなくのときにあの社会状況の中でできておりますし、それから災害対策基本法は昭和三十六年、あの伊勢湾台風の大変な被害の後でございます。
まず、菅野委員は災害救助法が遅れているということを指摘していらっしゃるんですが、最初の質問ですけど、どの部分をどのように今の時代に合わせて改善したらいいと菅野委員は指摘しておられるのでしょうか。お願いいたします。
○政府参考人(高橋謙司君) お答えをいたします。
防災庁設置準備アドバイザー会議における菅野構成員の提出資料におきましては、災害救助法に関しまして、生存権保障を眼目とした災害救助法は社会保障の一端として成立しており、その役割分担に基づき地方自治体のみが救助の中心となっていると。このため、平時は民間が担い手なのに、災害時は慣れない地方自治体が急に担い手になるといったこと、あるいは、福祉的支援の記載がなく、災害時には福祉的な配慮が必要な人ほど厳しい環境に置かれる、社会保障に関係するプロが被災者支援で活動することとなっていないといった課題が御指摘をいただいているところでございます。
これに対しまして、行政のみならず、NPO、医療機関、福祉事業者等の様々な専門家が連携した伴走型の被災者支援である災害ケースマネジメントを構築すること、あるいは災害救助法に福祉サービスの提供を位置付けることといった改善策について御提案をいただいているところでございます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
餅は餅屋でというのは菅野さんがいつも繰り返し言っていらっしゃいますけど、まさに福祉の視点なり、あるいはイタリアなどは料理人、調理人の方たちがいざというときには炊き出しに来て、そして、ふだんから準備をしている大変おいしいものを提供してくれるというようなことで、餅は餅屋でということ、大変重要な視点だと思います。是非日本の、この後も強化をしていただけたらと思います。
それから二点目ですけれども、災害対策基本法はなぜ時代遅れなのか、どのような部分をどう改善したらいいと言っていらっしゃるでしょうか。お願いいたします。
○政府参考人(高橋謙司君) お答えをいたします。
防災庁設置準備アドバイザー会議における菅野構成員の提出資料におきまして、災害対策基本法そのものには直接的な言及はいただいた提出資料にはございませんけれども、防災庁に望むことといたしまして、被災自治体が物流や福祉等の慣れない被災者支援を実施する構造を変え、委員の今御指摘もいただきましたような、プロの力も借りる餅は餅屋の災害対応を実現すること、あるいは、災害時は実動機関、様々な省庁、民間組織と協働する司令塔となること等といった御意見、御提案をいただいているところでございます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
同じく委員に災害学の大家でおられます河田惠昭委員がおられます。私も河田委員には知事時代から、逃げどきマップとか、かなり分かりやすい政策を支援をいただきまして、何度も講演なり研修に来ていただいていたんですけれども、河田委員が提案した資料、今日お配りしております資料一です。その河田委員は、特に社会条件を見てそれぞれの地域に合った方向を考えろということで、彼自身は元々の物理の研究者でもおられるんでしょうか、相転移、相転を移すという相転移現象と言っていまして、液体が固体になる熱力学の用語らしいんですけれども、事前にその地域でどういう相転移があるのかを見て、それで手を打てと。
例えば東日本大震災ですと、避難が不足していたから二万人近くの方が亡くなったんだと。みんな、三十分、一時間あったんだから避難したらよかっただろうと。あるいは、阪神・淡路大震災ですと、耐震の建物が十分できていなかった。だから、そこで、家で亡くなってしまった方が六千人以上出てしまったということで、このそれぞれの地域社会の状況をきちんと見極めながら対策を立てるべしと言っていただいているんですけれども、同時に、国家として、災害、文化、様々な憲法の問題とか、あるいは憲章を作るとか、先ほど災害対策基本法と救助法のお話ししていただきましたけれども、それの根っこのところにある、より大きな仕組みについて河田委員はどういう提案なさっているでしょうか。質問三でお願いいたします。
○政府参考人(高橋謙司君) お答えをいたします。
防災庁設置準備アドバイザー会議における河田構成員からいただいた提出資料におきましては、河田構成員、実践的な防災研究を行ってこられたお立場、御経験から御提案をいただいておりますけれども、今委員がおっしゃられた、先生のお言葉ですと、相転移という社会的な現象が災害が起こる前に起こらないようにする、そうしたことが、事前防災が大変重要だということで、阪神・淡路大震災の際の木造住宅の倒壊防止とか、また東日本大震災の際の津波からの避難が余りされなかった、こうしたようなことを対処していくような、災害を予防するための事前防災が重要であるといったこと、あるいは、このような対処方法を有効に機能させるための法的な対応、先生のお言葉ですと、すなわち防災庁の創設が必要であるといった御提案、御意見をいただいているところでございます。
○嘉田由紀子君 直接私も河田委員から伺ったことあるんですけれども、やはり緊急事態条項とか、あるいは憲法に防災憲章、防災権をきちんと書き込むべしというようなこともかなりダイナミックに提案をしていただいております。
そういう中で、防災庁設置、今日も大変心強い図を木戸口議員が出してくださったんですけれども、ここに各都道府県担当も入れてくださると。だから、ふだんから顔の見える関係をそれぞれの地域とつくっていただくと。で、いざ発災のときにはそこの人が中心になりながら、しかし、もちろん周辺も協力をしていただくわけでございますけれども、この時系列で考えるときに、事前防災、緊急対応、そして復旧復興、切れ目なくつなげる仕組みが是非とも必要だろうと思います。
具体的には、東日本大震災でしたら内閣府防災が事前それから緊急対応をしてくださったんですけれども、復旧復興は復興庁が担ってくださいました。これを一気通貫の流れにしていく。ここを防災庁準備室、どうお考えでしょうか。お願いいたします。
○国務大臣(赤澤亮正君) 委員御指摘のとおり、事前防災、それから緊急対応、復旧復興の一連の災害対応について、統一的な考え方の下で関係省庁が連携して対応していくことは極めて重要でございます。
私、緊急対応と委員が呼んでおられるものは大体、事態対処というふうに呼ばせていただいておりますけど、それで、例えば国土強靱化、我々やっておりますけど、その法律、基本法の中でも目的として書いていることは、やっぱり一番は人命最優先、そして二番目には国家機能といいますか統治機能も含めて致命傷を避ける、三番目が被害を最小化する、そして四番目に迅速な復旧復興を図ると、その四つが目的として掲げられています。
そういった統一的な考え方の下に、事前防災をやる場合にもどうやったら被害が最小化できるか、復旧復興についてもあらかじめ、どんな例えば町づくりをしておくと復旧復興を急げるかとか、被害少なくできるかとか、掲げたやっぱり目標との関係で、我々、各段階でやるべきことをしっかり洗い出して取り組んでいくといったようなことが大事だと思っています。
令和八年度中の設置目指す防災庁では、事前防災、発災時の事態対処ですね、復旧復興、これ一連の災害対策のもう一貫して司令塔としての機能を担うということで、専任大臣を置き、十分な数のエキスパートをそろえた組織とする予定でございます。
現在開催している防災庁設置準備アドバイザー会議においても、専門家の御意見いただきながら、事前防災から復旧復興まで、委員まさにおっしゃるように、時系列、一気通貫でしっかり司令塔機能を果たし、効率的、効果的な災害対応を実施する体制の在り方等について検討を深めてまいりたいというふうに思っております。
○嘉田由紀子君 その具体的なファンクション、機能を整理させていただいたのが資料三でございます。
主体はどこが担うのか、行政、個人なのか、企業、事業主なのか、地域住民なのか。そして、どういう性質のある対象か、そこに含まれている要素はということで、被害を受けた側としては、やはり最後の希望の光が欲しいんですよね。先ほど、坂井大臣が大船渡に行かれたときに、やっぱり生活が再建できるんだろうか。その生活というのは仕事も含めてです。
実はこれ、今回アドバイスをいただきました岡本全勝前復興庁事務次官が言っていらしたんですけど、地域によって全然条件が違うと。神戸ですと、ある意味で、周辺に町があったから、雇用の再生とか、あるいは、住宅は必要でしたけれども、仕事のことはそんなに考えなくてよかった。でも、東日本の場合には、やはり漁村が、仕事がやられてしまった。大船渡でも網を焼かれてしまった。そうしたら、ここ、どうやってなりわい再生するのかということで、やっぱり希望の出口が欲しいわけですね。その出口のところを最初から求めていく。
私も能登、何度か伺っていますけれども、本当に能登の状態も大変です。希望の出口が見えないんですよね、漁村、町づくり。それから、能登の場合には、かなり山の中に田んぼが維持されておりましたので、これが地震と交通遮断で先が見えない。もちろん過疎の問題もありますけれども。
こういうところで、是非ともこの物、機能、つながりをつなぎながら、本来の意味での一気通貫の防災庁、もう防災復興庁と名前を一気にしてしまってもいいかもしれませんが、この防災復興庁というようなアイデア、ここを是非今後の、令和八年に発足するということですけれども、今から御準備いただけないでしょうか。お願いいたします。
○国務大臣(赤澤亮正君) 委員御指摘の物、機能、つながり、あるいは、いただいた御資料では物、事、心という三つの機能というか性質を大事にするというのは、本当に傾聴に値するお考えであるというふうに思います。
復旧復興に際しては、住宅やインフラの再建といったもののみならず、なりわいや地域コミュニティー、被災者の皆様の心のケアも含めて、地域社会が再生するように取り組んでいく必要があると考えてございます。そのためには、あらかじめ起こり得る被害を想定をし、より良い復旧復興のための必要な対策を事前に講じておくとともに、復興に向けた民間との連携を図っていくことが重要と考えておりまして、防災庁においては、迅速な復旧復興に向けた事前復興計画の策定促進や、企業、NPOとの連携体制の強化など、本気の事前防災に取り組むこととしております。
御指摘のように、平時から発災時、復旧復興までを防災庁が総括することを想定をしておりますが、被災地の復旧復興に向けて様々な省庁と連携することも不可欠であると考えておりまして、防災庁が司令塔として防災施策に係る総合調整を担い、個別の施策を実施する各省庁と一体となった災害対応を一層効果的、効率的に進めることができるように、防災庁の設置に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
具体的な防災庁の最終的な形ですね、これについては本当にいろいろ議論させていただいておりまして、現時点において何も決まっておるものではございませんけれども、しっかり議論させていただきたいというふうに思います。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
これも先ほどの木戸口委員の資料の中に、南海トラフ想定死者数最大三十二万人、首都直下地震想定死者二・三万人、本当にもう数で想像できない大変なことが起きるおそれがある。
首都直下ですと、私は水害の専門的な研究もしておりましたので、ここでゼロメートル地帯に津波が入ってきたら二百五十万人が避難しなければいけない。どうするんでしょう、もう東京のど真ん中でというようなことも考えますと、何としても、この復興庁、遅きに失した組織だと思いますけれども、防災復興庁、本気で国民の皆さんのまさに未来への安心を埋め込んでいただけたらと思っております。
坂井大臣には、済みません、通告していなかったんですけれども、今のようなこと、全体を聞いていただきまして、感想がありましたらお願いいたします。
○国務大臣(坂井学君) 内閣府防災は、特にこの四月から令和七年度に入りますけれども、令和八年度中に防災庁ということで、防災庁にしっかりつないでいくということが大事でありますし、この令和七年度の内閣府防災の取組がそれこそ防災庁の枠組みとある意味同じ方向で同じ形で進むことが大事だと思っておりますので、幸い、この予算をお認めいただければ、予算も倍額、そして人員も倍増という形で取り組んでいけますので、その辺しっかり意識しながらしっかりやってまいりたいと思っております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
現在百十人のところが、内閣府防災は令和七年二百二十人ということです。そして、いざ令和八年度には防災庁ができたら防災復興庁として動き出していただいて、そして、繰り返しになりますけれども、被害を受けた人たちは本当にお先真っ暗、そういうときに、言わば灯台のような灯をともしていただく、そんな組織をつくっていただけたらと思います。
時間来ましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。以上です。

▼当日使用資料

●●20250325【資料】災害対策特別委員会嘉田由紀子

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