20250324 法務委員会(確定稿)
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。
今日は、離婚後共同親権に関するところで、養育計画作り、また学校との連絡など含めて、二十分お時間いただいていますので、質問させていただきます。
そもそも、私、二〇一九年に参議院に寄せていただいてから一貫してこの問題取り上げているんですけれども、背景は二つあります。
一つは、知事時代に、子供たちの貧困問題や虐待問題を見ると、やはり離婚の後の子供たちが大変困難に直面している。それから、実は、五十年ほど前から私は、文化人類学者として世界各地の、アフリカやアメリカやヨーロッパ、家族の問題も調査してまいりました。そして、諸外国では、たとえ親が離婚しても、父子、母子の縁を切らず養育を共同でするということが広がっておりました。
そういうところから、日本もある意味で、たとえ親が離婚しても、子供が経済的、精神的、社会的により幸せな人生が送れるようにと思いまして、この単独親権、先ほど福島議員が質問していらっしゃいましたけれども、日本の男尊女卑の社会、根っこのところは明治民法なんですね。明治民法の家制度、そこに嫡出子とか、その辺りのところが規定されている。この離婚後の単独親権も、元をたどると明治三十年の明治民法、百二十六年です。そういうところで、是非ともここは、明治民法以来のまさにガラパゴス化してしまった親子の縁切り文化をどうにか子供の幸せのために改定したいと思って、二〇一九年以降、質問させていただきました。
ようやく昨年五月に選択的共同親権の法的改正がなされ、そして二年後、来年二〇二六年には施行されることになります。日本の離婚、九割は協議離婚、これも諸外国の人と話をすると、えっ、紙切れ一つで、養育計画、養育費、何も言わずに、何も書かずに離婚できる、こんな国ないよと結構海外から言われるんですけれども、そういう意味で、この協議離婚九割、ここのところで共同養育計画を作ることを義務化しましょうと、子供のために、そして親プログラム、子供プログラムも義務化しましょうと、一貫して過去六年訴え続けてまいりました。しかし、残念ながら、昨年の改正民法の中にはこの養育計画のこと、全く本編には触れられておりません。附帯決議には入っております。
ようやく法務省さんが今回、こどものための養育計画書作成の手引きというのを出していただきました。ここの中を、今日資料でお配りしていますので、ざっと、時間がありませんので、見せていただきますと、初めにのところは、なぜこの養育計画を作るのかということで、お子さんの養育に必要な事項を父母の間であらかじめ取り決めておくことが子供の幸せを実現するために大切なんだということを初めに書いていただいております。そして、子供自身の思い、気持ちに耳を傾けること、親同士が子供を巻き込んで争うことがないようにすること、そして、成長するにつれて環境は変わっていくから、この養育計画もその対応をして変えていくというケースがあるんだということを最初に断っております。
そして、まずは養育費です。養育費のことも、法定養育費あるいは養育費に先取特権を入れるというようなところで、父、母があらかじめ毎月、例えば複数子供がいたら、一人目は幾ら、二人目は幾らということで、基本的には十八歳、大学行く場合には二十二歳までというようなところの取決めもございます。
それから二点目、親子交流。これ、かつて面接交渉とか面会交流、言っていたんですけど、今回の法案でようやく親子交流と名称が変わりました。これはもちろん歓迎することですけれども、この親子交流の具体的な決め方というのも、ここで事前に約束をしておきましょうとございます。
それから三点目に、大変大事なのが重要事項の決定方法。これは、この法務委員会でも、子供が病気になっても共同親権になると病院が選べない、診察が選べない、あるいは学校が選べない、教育上不利だというようなことも随分議論ございました、具体的に。そのことも含めて、あらかじめ約束をしておきましょうという、そういう説明でございます。長々と申し訳ありません。
その中で、実は本当に待ちに待った共同養育計画なんですけれども、まず最初に、ここに法的約束事がないんですね。例えば養育費やあるいは親子交流も、ここで約束しても、それをどうやって法的な担保を持たせるのかと。公正証書化というようなことも触れておりません。
それから、立会人のサインなど含めて、実は今日同じく資料二として、二〇一五年に日本リザルツという民間の団体ですが、が作った共同養育計画合意公正証書と、サンプルを同じく配らせていただきました。ここには、合意そのものを公正証書化するということで具体的なアドバイスが入っておりますけれども、まずは質問一の一ですが、この約束事を担保するための公正証書化などどうなさるのか、ここのところを法務省さんにお伺いしたいと思います。
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
離婚時に父母が子の養育に関する事項を取り決めることは子の利益にとって望ましく、このような養育計画の作成の促進は重要な課題であると認識をしております。その際に、父母の意思を正確に反映し、後の紛争に備えるために、取り決めた内容について公正証書を作成することは重要な意義があると認識をしております。
委員御指摘の手引でございますが、あくまでこれは調査研究において作成をされたものでありまして、今後、当該調査研究の結果等を踏まえて、御指摘のように、養育計画が適切に履行されていくようにすること、また実効性の観点から必要に応じて見直していくことなどの観点も考慮に入れつつ、どのような形で取決めの重要性を周知し、取決めを促進していくかの方策について検討してまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
となると、まだこれは途中経過で、この後ブラッシュアップしていくということですね。
それでしたら、具体的に、二番目ですけれども、先ほど来申し上げておりますように、日本の離婚、九割が協議離婚で、自治体の窓口、日本全体で千七百四十一基礎自治体がございます、この自治体の窓口で戸籍、手続するわけですけれども、この窓口での手引書の活用方法、あるいは専門家への相談、ADRのような裁判外手続の活用、また弁護士などへの相談方法など、この後どういうふうにここを分かりやすく追加してくださるでしょうか。お願いします。
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘の調査研究におきましては、大阪府の八尾市とそれから東京都の豊島区に御協力をいただいたものであります。委員御指摘の点も含めまして、今後、納品を受けた報告書等の記載内容を精査する予定でございまして、現時点で報告書等の記載内容についてお答えすることは差し控えたいと思いますが、報告書等につきましては法務省のホームページで公表する予定としております。
調査研究によって得られた有益な施策につきましては、関係府省庁等とも連携しつつ、横展開に取り組んでまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
自治体としては八尾市と東京都の豊島区ですか、分かりました。また直接それぞれの市にも教えていただきたいと思うんですが。
ここで、これからバージョンアップ、ブラッシュアップしていくに当たって、私、あらっと思ったんですけど、これ、養育計画書作成とあって、共同養育計画の共同という言葉が入っていないんですね。今回の共同親権が選択できるようになった基本は、たとえ離婚しても、父母両方が相互に協力をして、そして共に育てていくという基本哲学があったと思うんですけど、ここのところ、この後、共同養育計画の共同という文字を採用してくださるでしょうか。いかがでしょうか、民事局長さん。
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘の離婚後の子の養育計画に関する調査研究業務におきましては、父母の離婚後の子の養育の在り方に関する計画を指す語として養育計画の語を、その計画が記載された書面を指す語として養育計画書の語をそれぞれ用いております。なお、海外において、当該計画につきましては、例えばペアレンティング・プランと呼ばれる例があると承知をしておりまして、これは養育計画と訳されることもあると承知をしております。
したがいまして、ここで何らかの意図を持って共同養育計画ですとかあるいは養育計画書という語を用いなかったというわけではございません。
もっとも、参議院法務委員会における令和六年民法等一部改正法案に対する附帯決議におきましては共同養育計画の語が用いられていることも踏まえまして、どのような語を用いるかについては引き続き検討してまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
附帯決議は、今局長さんおっしゃってくださったように、共同養育計画になっております。
この件で最後に鈴木大臣にお伺いしたいんですが、実は、親が離婚したら父母どちらかが、片親を失うんだということが、ある意味で日本では日本語を話すように当たり前になっているんですね。ですから、ここをどうやって、いや、実は親はちゃんと生きているんだよ、そして父子、母子、例えば私たちは今離婚した後の子供の聞き取りをしていますけど、本当に片親を失うことによって、片親が持っているリソースですね、経済的、精神的、社会的、失ってしまうことになるんですね。それで、片親サバイバーだというようなお話もありますので。
ここの共同親権を日本で導入をした背景、理念、哲学を是非国民の皆さんに法務大臣として広く知らせていただけたらと思います。そういう意味では、今局長さんが共同という言葉を使ってくださるような、まだ決定ではないですね、この後議論してくださると思うんですが、是非とも大臣の意思をお示しいただけたらと思います。
○国務大臣(鈴木馨祐君) 今御指摘のように、子供の、子の利益、この確保のために父母双方が離婚後も適切な形で子の養育に関わっていく、そしてその責任を果たすこと、これが望ましいという、そういったことでこの法改正も行われたと承知をしております。この法改正におきましても、父母の離婚後もその双方を親権者とすることができるということで、まさに父母の離婚後の子の養育に関する法制度についての大きな見直しであったということが言えようと思います。そして、その円滑な施行をしていくためにも、その趣旨も含めて、これは適切かつ十分な周知等の環境整備、これをしっかりと我々としてもしていかなくてはいけない、そのことを痛切に感じているところでもございます。
先ほど局長からも答弁申し上げましたけれども、共同養育計画、この文言についても、先ほど申し上げましたその改正法案の附帯決議の中でもこうした言葉が使われているということもございます。そうしたことも踏まえまして、引き続き、この改正法の円滑な施行についてどういった形でやっていくのが最も適切なのか、周知等の準備、しっかりと取組を進めてまいりたいと思っております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
本当に今まで百三十年近くなじんできた概念ですからなかなか広まりにくいと思うし、また、そこに様々な困難、抵抗もありますけれども、あくまでも子供にとっては親両方のリソースがあることで子供がより健やかに豊かに幸せに暮らしていけるんだという、ここの原点をいつも繰り返し主張していただけたらと思います。
次に、質問二ですけれども、親子交流と教育機関の役割について少し詳しく質問させてください。
実は、親子交流の支援機関が今あるんですが、どういう支援をするかというところで、一般的には付添い、受渡し、連絡調整という、それぞれの親子一組に対して、例えば交流機関の成人が、あるいは専門家が付添いしたり、あるいは受渡しサポートしたり、連絡調整して、そして最終的には親子が自立をして交流できるということが望ましいと言われているんですが、今回の法改正で民法八百十七条の十二に父母間の人格尊重、協力義務というのが入りました。この八百十七条の十二の同義務が、具体的に、親子交流で、ある意味で一方的に拒否をするとかそんな段階の状態で、どう機能するんでしょうか、この理念が。少し抽象的で難しいんですけれども、親子交流に対してこの父母間の人格尊重、協力義務がどう機能するかということ、法務省さんの見解をお願いします。
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、親子交流の実施に当たりましては、その安全、安心を確保することが非常に重要なことになります。改正法では、父母間の人格尊重義務や協力義務の規定を新設するとともに、親権は子の利益のために行使しなければならないということを明らかにしておりまして、例えば、支援機関の支援のうち、受渡し型や連絡調整型への移行を拒み続けるといったことが父母間の人格尊重、協力義務に違反するか否かも子の利益の観点から検討されるべきと考えられます。
そして、あくまで一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が父母間の人格尊重義務や協力義務等に違反した場合、親権者の変更の審判等においてその違反の内容が考慮される可能性があると考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。その違反の内容が考慮される可能性があるということですね。
続いてですが、今、親子交流の支援機関、大変増えているんですけれども、この支援機関そのものを評価をする機関というのはあるんでしょうか、専門的な評価機関ですね。評価機関が存在しない場合、今後、適切な移行を促すための評価機関を創設するお考え、おありでしょうか。
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
親子交流につきましては、父母間の協議又は家庭裁判所における調停等による適切な取決めに基づきまして、父母及び子によって安全、安心に行われるのが理想であると考えられます。他方で、当事者のみでは親子交流の実施が難しいという場合には、親子交流に関する支援を行っている団体等の努力によって様々な支援が当事者に提供されているものと承知をしております。
法務省におきましては、親子交流支援団体等向けの参考指針というものを作成いたしまして、公表しております。これを適切な親子交流支援団体等の活動の確保のために参考にしていただくということを期待しておるところでございます。
もっとも、法務省として、民間の支援団体等の個別の活動についてコメントできる立場にないことを御理解賜りたいと考えます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
実は、親子交流の促進を学校や保育園、幼稚園などの現場でというニーズが大変高まっているんですけれども、それを、文部科学省さんは現場に対して、昨年の十二月十九日には法改正に関する具体的なQアンドA形式の解説資料を学校現場に分かりやすく周知すると私の質問に答えてくださったんですが、今年の三月十二日の衆議院の文部科学委員会では、柴山衆議院議員の質問に対して、文部科学省さんは、共同親権になった場合における別居親への学校の対応に対する具体的な取扱い、改正法の施行後に学校現場にしっかり周知してまいります、施行後にと具体的におっしゃられたんですけど、そうすると、あと一年後です。
子供はもう、一年一年本当に早く成長します。それどころか、日々成長する子供の姿を親御さんは一日千秋の思いで毎日でも見ております。今ちょうど卒業式のタイミングですけど、卒業式に参加できないけど、うちの娘が今度小学校を卒業するのでといって、卒業式の学校の入口まで行って、会えない娘への思いを高めたりというようなことも聞いております。
ですから、一年後の言わば学校現場への説明というのは余りに遅いと思うんですけど、その辺り、文部科学省さん、いかがでしょうか。
○委員長(若松謙維君) 時間過ぎておりますので、答弁簡潔にお願いします。
○政府参考人(日向信和君) お答えいたします。
文部科学省としては、民法改正法の施行後に学校現場に混乱が生じることのないよう、あらかじめ制度改正の内容を適切に周知していくことが重要であると考えており、既に、法務省が作成した改正法に係るリーフレットを各教育委員会に周知したところです。
また、現在、法務省を始めとした関係府省庁が連携して、改正法に関する具体的なQアンドA形式の解説資料等の検討を進めているところであり、こうした解説資料や学校における親子交流の具体例についても、改正法の施行前に各学校現場に対して周知してまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。施行前に周知と、是非お願いいたします。
今日、資料三として、タイプ、四つのタイプのをお配りしておりますけれども、これもまた、続いて、具体的なことは教えていただきたいと思います。できるだけ速やかに文部科学省さんも対応していただけたらと思います。
ありがとうございました。失礼します。
▼当日使用資料