2024年12月23日 参災害対策特別委員会
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。
今日は、災害時の水の確保の問題について、少し歴史的な背景も含めて問題提起させていただきたいと思います。
皆様の方に新聞記事を一枚配付させていただきますが、珠洲に分散型水道という新しいシステムを導入しようという仕組み、提案をいただいております。それから、裏ページには、既にモデルが始まっているということなんですけど、この問題を、私自身は過去四、五十年、水と暮らしを研究をしてまいりまして、滋賀県内六百集落、上水道、下水道が入る前にどういうふうな水を使っていたかということで、東京やあるいは大都会ではもう明治から水道があるんですけど、日本の田舎は、本当に昭和三十年代、四十年代まで水道なしに井戸あるいは湧き水、川の水。ですから、おばあちゃんは川に洗濯にというのは決して昔々あるところにではなく、ちょうどこの集落では川の水を洗濯にということが、もう日本中水が豊かであったので普通だったわけです。
滋賀県内六百集落調査をいたしまして、これは一九八〇年代ですけど、ちょうどその頃水道が普及し始めて、そして行政の方は計画をして水道を造るので、井戸や湧き水が使われると赤字になってしまうから、行政が水道あるいは湧き水、水道を使ってもらうために湧き水、井戸水を禁止するような、そんな動きもあったんですね。それに対して私は、ちゃんと、いざ災害とかいうときにこの管渠が壊れたら大変ですよと、ですから、いざというときのために守っていきましょうと、ちょっと昔の暮らしぶりをということで、かなり、琵琶湖博物館を造る運動の中で、滋賀県内、湧き水、例えば川端文化というようなところも今生かしておりまして、そこは世界中から川端を見に来るというような観光さえ成っております。
ですから、これ日本中、本当に湧き水、井戸、大切なので、ということで、大規模化するばかりが目的ではないと思っておりまして、そういう中で今この能登半島の事例を見させていただきました。特に水道も、今回能登半島で、遠くから、例えば手取川から引いている七尾市とか、何か月も復旧しないという状態だったわけですので、そこのところを少し背景を教えていただけたらと思います。
まず質問の一ですけれども、それぞれの、能登半島地震での水道、下水道、被害を受ける中で、市町で水道が復旧した日時、下水道が復旧した日時、市町村別に教えていただけますか。
○政府参考人(松原誠君) お答えをいたします。能登地方六市町の話ということでお答えをいたします。
早い順で、まず水道施設につきましては、志賀町と穴水町が三月四日、七尾市が四月一日、能登町が五月二日、輪島市と珠洲市におきましては、建物倒壊地域等を除き、五月三十一日に断水が解消しております。
また、下水道につきましては、志賀町で二月二十七日、七尾市で三月十五日、穴水町で三月二十日、能登町で三月二十九日、輪島市で四月十三日、珠洲市に、建物倒壊地域等を除き、四月二十五日に機能確保が図られております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
現在まだ復旧していないところ、これは道路の問題、あるいは建物そのものもあると思うんですけれども、現在どこが復旧していなくて、そして困っているかということも、分かりましたら教えていただけますか。
○政府参考人(松原誠君) お答えをいたします。
まず、水道につきましてですけれども、能登半島地震による断水は、九月の大雨による被害も含めまして、建物倒壊地域等におきまして、十二月十六日時点で、輪島市で三百八十二戸、珠洲市で三百九戸が引き続き断水となっております。建物倒壊地域等の断水につきましては、家屋の再建や住民からのニーズに合わせまして、今後順次復旧を進めていくこととしております。
下水道につきましては、珠洲市の建物倒壊地域等において、既にお住まいのお宅がある場合、仮設浄化槽を設置をいたしまして応急対応を実施しております。今後、当該地域の復興まちづくり計画等を踏まえ、本復旧を進めていくこととしております。
○嘉田由紀子君 先ほどのトイレトレーラー、平木さんの御質問にもあるんですけど、やはり恒常的にどういうふうにトイレも、そして水も使えるかということは大切だと思うんですが、今回この問題提起いたしましたのは、今まで広域で管渠を遠くまで引くという、言わば高度経済成長期の水システムをつくってきたんですが、いよいよこの先、日本は、この上下水道システム、価値観を変えなければいけない段階だと思っております。
というのは、高度経済成長期に造ってきたのが、管渠が言わば老朽化している、そして耐震性ができていない、これが一つの問題ですね。二つ目は、人口減少です。人口減少の中でこのまま管渠は維持できないだろうと。財政の問題もあります。そして三つ目は、災害が増えている。もう、水害もそうですけれども、二割、三割増えているというところで、新しい時代の、まさに、昔、地域で井戸や湧き水使っていたというような時代の仕組みも含めて、小規模システムつくりが大切だろうと思っております。
そういう中で、三点目の質問ですけれども、今回、小規模システムの実証事業とありますけど、その計画内容を教えていただけますか。そして、担当事業者が現れるかどうか、技術的、財政的課題。それと、今まで広域化進めてきたので、広域化でないと補助金出さないとか、そんな仕組みも今まであったと思うんですけれども、そこのところの問題を、三点目です、お願いできますか。
○政府参考人(松原誠君) お答えをいたします。
まず、実証事業につきましては、上下水道の分散型システムについて、新しい技術も開発されてきておりますので、こうした技術の処理性能の信頼性や維持管理の在り方、経済性などを検証するために、令和六年度の補正予算を活用して、能登半島において、能登半島をフィールドとして実施をする技術実証を行うこととしております。
事業者につきましては、今後、公募を行った上で決定することとしております。
支援ということでございますけれども、これまで、例えば下水道でありますと、既にその小規模なシステムということで浄化槽がございまして、そもそも計画論も含めまして、どのエリアを下水道、どのエリアを浄化槽というような考え方が整理をされておりますけれども、今回の水道の小規模システムにつきましては、今回技術実証するレベルでありますので、そういった計画論ないしは財政面での考え方につきましてもこれから整理をしていくこととしておるところでございます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
特に、今まである方向でやってきたものを価値観を変えるとなると、随分と現場で抵抗も大きいと思うんですね。そして、反対をする人もいる。私、予算委員会のときも、あっ、今、赤澤大臣おられないですけど、いろいろ新しいことをやろうとすると、既成の概念と違うから、特にお役所ではできない理由ばっかり言うんです、できない理由ばっかり、あれが駄目です、これが駄目ですと。でも、もう時代が変わっているんだから、価値観を変えて、どうやったらできるか、そこのところを、ノー・ビコーズのできない理由だけではなくて、イエス・ゼンと。それが、今時代変わっているんだからやりましょうと。
鬼木議員なども自治体で随分と苦労なさっていると思いますけど、そこのところを是非とも、反対がなかったかどうか、反対がある場合、この後どう突破していくかということ、質問四です、お願いいたします。
○政府参考人(松原誠君) お答えいたします。
例えば、珠洲市におきましては、復興計画を審議している委員会で小規模分散型の飲料水供給システムの構築を議論されていると承知をしておりますので、市としてこういったものに取り組んでいこうという姿勢が出ているものと承知をしておるところでございます。
また、国土交通省としてこのような取組をどう進めるかということかと思いますけれども、委員御指摘のとおり、水道事業をめぐる環境、情勢というものは大きく変化をしてきておりますので、これをしっかり私たちとしても公共団体、水道事業体の方に丁寧に伝え、新しい時代の水道を構築するべく取り組んでまいりたいと思います。
○嘉田由紀子君 今回、実は、この令和六年というのは、今まで水道は厚労省だった、それが国土交通省に集約された。明治以降、大変大きな仕組みだと思います。
そして、能登半島のこの地震に出会ったということで、令和六年に価値観変わったねと言ってもらえるような形で、是非とも、できない理由をいろいろ言われる中で、新しい活路開いていただきたいと思います。
特に、市区町村が希望したら、今回、能登半島以外でも、今回は災害があったから変えようということですけれども、災害がなくてもこの小規模分散化というふうな価値観の転換をできるのでしょうか。上水道、下水道が一緒になったこの令和六年が転換点になるでしょうか。質問五です。
○大臣政務官(国定勇人君) お答え申し上げます。
今回の能登半島地震の被災地以外におきましても、先ほど来、嘉田委員から御指摘をいただいておりますとおり、災害時におけます水の利用の確保であったり、今後の人口減少社会への対応の観点から、分散型システムの活用も含めました、災害に強く持続可能な上下水道施設の整備を進めていくこと、これは大変重要だというふうに捉えているところでございます。
このため、先ほど上下水道審議官からも答弁申し上げたところではございますけれども、まずは能登半島におきまして、この分散型システムの技術実証を進めさせていただきたいということでございます。
それとともに、地方自治体のお考えも十分拝聴させていただきながら、その導入を図る上で必要な手引類の整備も、これも進めてまいりたいというふうに考えております。
国土交通省といたしましては、これらの取組を進め、人口減少や今後の災害への対応も見据えた中で、これまでの上下水道システムと分散型システムを適切に組み合わせる形で、強靱で持続可能な上下水道システムを構築してまいりたい、このように考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
国定政務官は市長時代に、二〇〇六年、新潟で随分御苦労なさったと思いますけれども、その復興経験なども是非全国に展開をしていただけたらと思います。
前半の質問、ここで終わらせていただきますけれども、後半は液状化被害からの復旧復興というところでお願いをしたいんですが。
二月の二十四日に、私ども、内灘町の液状化地域、訪問させていただきました。被害の大きさに驚愕をいたしました。そして、四月五日にはこの災害対策特別委員会で、液状化の復旧復興方向、質問させていただきましたけれども、それまでの、例えば東日本大震災でも浦安市など液状化被害があったんですけれども、内灘の場合には、側方流動というんでしょうか、もう大地がそのまま横に動く、家が何十メートルも動いてしまうというようなことで、境界が全く見えなくなっている。
この被害は、特にあそこは元々が内湖だった。実は琵琶湖辺もそういうリスクがあるんです。ちょうど同じような地形条件なんですね。ですから、内灘のことはよそ事に思えないので、同じような地震があったら琵琶湖辺でも側方流動というようなことが起きるのではないのかと、かなり心配をしております。
それで、特にあそこで液状化が集中していた西荒屋、宮坂、室地区が、もう個別の屋敷では対応できないところを集落全体でどういうふうにしていくかというようなところも随分現場で悩んでおられましたけれども、今どうなっているか、そして、今後どういう方向に持っていけるか、質問二の一です、お願いできますか。
○政府参考人(服部卓也君) お答えをいたします。
能登半島地震により、内灘町では、液状化に伴い、広い範囲で地盤が水平に動く側方流動が発生をするなど、著しい被害が集中をしました。
国土交通省では、直轄調査により、内灘町に対して十月末に、液状化被害が発生したと見られる範囲を対策すべき範囲とした液状化対策方針案をお示しするなど、技術面を含めた支援を行っております。これを踏まえ、内灘町では、西荒屋、宮坂、室地区を含む町内の八地区において、十一月下旬から十二月上旬にかけて地域住民に対して液状化対策方針を説明をしたところでございます。
また、内灘町では、有識者の意見も踏まえ、十二月に液状化対策を含む災害復興計画を策定をいたしました。今後はこの復興計画に基づき町の復興を進めるものと承知をしております。
国土交通省としては、内灘町で液状化対策を含めた復旧復興が円滑に進むよう、引き続き支援をしてまいります。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
復興計画も見せていただき、また手元で勉強させていただいておりますけれども、浦安や、あるいはそれこそ熊本地震でも液状化起きていたんですけれども、この先行する自治体との連携、あるいは国がそこにどういうふうな支援をしているか、その辺りのところも今、現状を教えていただけますか。
○政府参考人(服部卓也君) お答えを申し上げます。
能登半島地震による液状化被害の再発防止に向けては、国土交通省職員、被災自治体ごとに地区担当として配置を行い、液状化対策に向けての技術検討会議に国土交通省の職員も参加するなど、技術的な助言を行っているところでございます。また、被災自治体の要請に応じて、国の直轄調査により、液状化の再発防止に向けた被害状況の調査や対策検討に関する技術的な支援を行っているところでございます。これらの支援により、被災自治体において液状化対策も含めた復興計画の作成が進められていると承知をしております。
さらに、国土交通省と被災した県や市町から成る会議を開催し、浦安市など過去の被災自治体における液状化対策の取組状況を直接紹介をいただくなど、連携を図っているところでございます。
国土交通省としては、地域の実情を踏まえ、安全、安心な町づくりを自治体が進めていけるよう、しっかりと支援をしてまいります。
○嘉田由紀子君 続けてお願いいたします。
これは回答がないと思うんですが、問題提起だけ最後にさせていただきます。また一月以降議論していただきたいんですけれども。
今地元とやり取りをしていて、技術的なところとかはどうにか進められるんだけど、問題はこの土地の境界画定、ここが意外と難しいんですね。私も知事時代に、団地で開発が不明瞭で全然公図になっていないんです。公図になっていないところで土砂災害が起きて、復旧に掛かれないんですね。境界が画定しない。
これ、担当法務省なんですよ。ですから、国交省が技術的にどう支援しようとしても、この法務省との担当、公図の確定、そしてその前に測量しなきゃいけないというようなところで、是非、今日は答弁はよろしいですけれども、土地境界の画定について自治体の悩みなどを聞いていただいて、そして、これは国じゃないとなかなか法務省とやり取りができない、境界画定のところなど今後検討していただけたらと思います。
時間ですので、これで終わります。ありがとうございました。
▼当日使用資料