2024年12月17日【法務委員会】確定稿

2024年12月17日 参法務委員会

 

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。
まず、今日は最初に、裁判官とそれから検察のこの給与改定の問題について二問お伺いいたします。
私は、ずっと共同親権の問題を二〇一九年からもう五年以上関わってきたんですけど、その間に、たくさんの親御さんあるいは子供さんが、なかなか裁判の期日が入らないということで分断が深まったり大変な状態だということを全国から声を聞いております。そういう中で、今回の報酬改定、前向きに賛成させていただきたいんですけど、二問お伺いします。
まずは、裁判官、大変な激務で、そして先ほどの打越議員のお話にもありました、時間外勤務など手当が全くないと、ブラックだというところで、裁判官になり手が不足しているのではないだろうかと心配をしております。そんなところで、今定員は十分と考えておられるのか、それとも不十分なのか、その辺りの見解をお願いいたします。
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
裁判所といたしましては、これまでも適正かつ迅速な事件処理を安定的に行うために必要な体制整備に努めてまいったところでございます。
裁判官につきましては、司法制度改革以降の平成十四年から令和二年度までの間に相当数の増員をしてまいりました。近年の裁判所全体の事件動向につきましては、成年後見関係事件などの一部の事件を除きまして落ち着いた状態が続いていることから、これまでの増員分を有効に活用しつつ、審理運営の改善、工夫等も引き続き行うことで適正かつ迅速な事件処理を行うことができるものというふうに考えております。
以上のとおり、現時点におきましては、裁判官全体の枠としての定員の増加が必要な状況にはないというふうに考えております。
先ほど委員の方から繁忙な裁判官がいるのではないかというような御指摘もいただきました。このような御指摘も真摯に受け止めながら、今後とも、事件動向、事件処理状況、社会経済情勢の変化やこれに伴う事件の質的な変化、法改正の状況など、その時々の諸事情を踏まえて必要な人的体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 不足していないというような答弁だったと思うんですが、実は今回、共同親権の法案改正のときに附帯決議で、足らないということではなくて、追加的なところに裁判の体制強化ということもお願いをしておりますので、今後努力いただけたらと思います。
二点目ですけど、実は、今私どもは、日本社会全体ですけど、共稼ぎ、共育てが日本の国を全体、経済的にも強くするという、あるいは出生率も上げるという方向だろうと思っております。
裁判官あるいは法曹関係者で全国に赴任、転勤があると思いますけれども、子育て中で共稼ぎなどの場合、家族の維持ができるように赴任や転勤への人事的配慮はあるんでしょうか。この辺り、事務方の見解を伺います。
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
全国の裁判所における均質な司法サービスを確保するためには全国各地に裁判官を配置することは必要不可欠ではございますが、裁判官にとっても御指摘のとおり仕事と家庭生活の両立は重要であることから、裁判官の任用、配置に当たりましては、本人から任地や担当職務についての希望を聴取した上で、子育て等の家族の事情にもきめ細かく配慮しつつ、適材適所の観点で実施をしているところでございます。
今後とも、裁判官が仕事と家庭生活を両立できるよう、十分に配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
当人からはなかなか言いにくいと思うんですが、子育てへの配慮、また男性の育児、介護、私は、休業法ではない、育児・介護参画法と名前を変えてくださいと昨日も石破総理にお願いしましたけれども、育児と介護が両立できるような、そういう法曹の価値観を変えていただくということが大事だと思います。
三点目なんですけど、今日資料をお配りしております。
資料一は、この十二月に法務省民事局さんが、父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されましたということで、五月十七日に国会を通していただいて、そして半年近く掛けてこの冊子を作っていただきましたが、思い起こしてみますと、二〇一九年に森法務大臣から今回の改正まで、上川大臣、古川大臣、齋藤、葉梨、小泉、鈴木と、七人目の鈴木さんで、法務大臣です、ようやくここまで来たということなんですが、この内容については後ほど質問させていただきますけれども。
昨日も、鈴木法務大臣、予算委員会でお答えいただきましたけれども、日本における配偶者に無断で子供を連れ去ってしまうということがどれくらい起きているのか、これ、是非数値をこの後詰めていただきたいと思うんですが、今日のこの質問を全国の方が見ておられます。特に、配偶者に連れ去られたお父さん、お母さん、あるいはそのおじいちゃん、おばあちゃんたちですね。そして、是非お願いをしたいのは、これ昨日の続きですけれども、親子分断されてしまっている子供さんの数、定義が難しいと昨日鈴木大臣言っておられました。定義は難しいんですけれども、何らかの定義をして、そして把握をしていただきたいと思います。
今、全国で親の離婚に直面する未成年の子供、二十万人近くおります。七十万人しか生まれないんですから、三・五人に一人ですよね。私は、日本の子供たちの自己肯定感の低さというのはこの辺りにかなり影響されているんだろうと思います。
それから、二点目は、自死をしてしまったお父さん、お母さん。今日、後からK市のF・Fさんの事例を紹介させていただきますけれども、本当に把握できていないんです。そこのところの数値を是非とも、法務大臣、昨日の宿題ですので、フォローしていただけたらと思います。
それから、連れ去られた後、義理の親あるいは同居人からかなりあやめられるような、そういう数値も是非フォローしていただきたいと思います。
そういう中で、今日のこの資料二と三ですね。思い起こすのもつらいんですが、首都圏のK市で、小学校二年生の長男が連れ去られた被害者F・Fさんが、十一月十六日、ちょうど一か月前に自死してしまわれました。
少しフォローさせていただきますけれども、F・Fさんは二〇一二年十月に御結婚なさって、一五年の五月に長男のR君が出生します。奥様はMさん、同じ会社で共稼ぎ。二二年の四月にR君が小学校入ります。ちょうどこの頃、コロナ下で、Fさん、Mさん、在宅勤務で、家の中で一緒におられる時間が多くて、それで関係性が悪化したということらしいんですが、この三月上旬にお母さんが、夫のDVと児童虐待から逃げたいと、警察、それから市役所の男女共同参画の機関、それと教育委員会に相談をして、ひそかに終業式の日に連れ去りを決め、そして、母親は弁護士にも相談をして、三月二十五日の終業式の日に母親がR君を連れ去り、そして四月から別の学校に入れていると。
この間、子供さんへの聞き取りも、お父さんへの聞き取りも、何もされていないんです。ですから、お母さんがDVだ、あるいは虐待だと言ったら、それをそのまま警察も行政も信じていたというところで、この後、本当に毎日のように、このお父さんは、どうやったら子供に会えるかということで、面会交流を依頼したり、あるいは家事審判を申し立てたり、監護者指定を申し立てたりして、そして、辛うじてズームで、居場所が分からない状態で、ズームでちょっとだけ、二回面会できたらしいんですけれども、子供さんはお父さんに会いたい、会いたいと言っておられたということで、夏休みは是非とも子供を連れてキャンプに行きたい、毎年そういうふうにしてきたからと。ところが、このキャンプの旅行も受け入れられませんでした。
そして、八月、九月、十月と、十一月十五日に裁判の期日が入り、相手方から大変激しく一方的に言われ、そして共同親権なんか反対だと言われ、そこで希望を失ってしまって、十六日の朝、自宅で亡くなっておられました。二十二日に葬儀をなさったということですが、父親との最期の別れをR君にさせてあげたいということで弁護士さんが調整をしていただいて、冷たくなったお父さんと面会がやっとかなったと。パパはどんなにあなたに会いたかったかとおばあちゃんが伝えたら、僕だってずっと会いたかった。もう言葉にならない状態だったということです。
そして、資料三の方には、このおばあちゃん、七十五歳の方ですけど、五ページにわたって今の心境をつづってくださったんですが、全体が長いので私の方でかなり短縮させていただきました、編集させていただきましたけれども。
本当に、父親のDVも児童虐待もあり得ないことを並べ、執拗な身に覚えのない人格攻撃をされ続けたと、このことを警察も行政も調べてくれなかったということです。ということで、知り合いとかがDVなんかなかったよという陳情書も出してくださっている。それから、調査官調査が入っておりまして、聞き取りをして、子供さんにも聞き取りをして、お父さんと会いたいと、お父さんが作ってくれたスパゲッティ食べたいというようなことも調査官調査で言っておられたそうです。ただ、R君は、お母さんが居場所を明かしてはいけないと言われたので僕はどこにいるかは言えませんと。これを片親疎外ということになるんですけど、忠誠葛藤のようなこと、既にR君はもうお母さんのことを配慮して、そしてお父さんと実際に会いたいけど会えなかったということがこの背景にありました。
そして、この七十五歳のK子さん、ある日突然子供がいなくなり、北朝鮮の拉致の問題も大変ですけど、これは国を挙げて求めてくれているのに、何で自分の子供が突然いなくなって、これを捜してくれないのか。その代わり、逆に自分は、連れ去り、DV夫からの逃避ということだけで非難される、こういうことが実際起きている。
そして、それが、キミトというNPOが調べたところ、五百九人の方がネットで、自分は連れ去りに遭ったということ、そしてそれは冊子でまとめていただいていますけど、そのうち九割以上の方が自殺、希死、自殺を思いとどまったけれどもということでございますので、この辺は本当に国の大きな問題だろうと思います。
ということで、大変つらいところを御紹介させていただいたんですが、もちろんこのことは当事者の皆さんには御了解をいただいております。
最初の質問ですが、法務大臣に伺います。
四十七歳の息子の自死を納得できない七十五歳のお母さんの問いかけ、なぜ、婚姻中でまだ共同親権を持っている状態の中でほかの親が無断で子を突然連れ去り、隠してしまうことが日本では許されるのでしょうか。
実は、二〇二一年の四月十三日に参議院の法務委員会、この場です、上川法務大臣、それから川原隆司刑事局長が答弁をしてくれております。刑法二百二十四条の違反のおそれがありということも答弁していただいていますけれども、鈴木法務大臣、いかがでしょうか。御答弁お願いいたします。
○委員長(若松謙維君) 申合せの時間過ぎておりますので、答弁簡潔に願います。
○国務大臣(鈴木馨祐君) 今おっしゃいました刑法二百二十四条でありますけれども、この未成年者略取誘拐罪は、未成年者を略取し、又は誘拐した場合ということで、その場合成立するということでありますけれども、今おっしゃいましたその親権者の場合どうなのかということでありますが、最高裁の判例においても、親権者による行為であってもこの刑法二百二十四条の構成要件に該当し得るとされております。行為者が親権者であることなどは行為の違法性が阻却されるか否かの判断において考慮されるべき事情とされておりますけれども、その構成要件には該当し得るということであります。
○委員長(若松謙維君) 申合せの時間過ぎておりますので。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
時間来ていますので、この後の質問はまた明後日ということでお願いいたします。
済みません、事務方の皆さん、準備していただいて。明後日続けさせていただきます。
以上です。ありがとうございました。

▼当日使用資料

1217参法務委員会嘉田由紀子【資料1】

1217参法務委員会嘉田由紀子【資料2、3】

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