Facebook 2017年2月12日

「アメニティー・フォーラム」 びわ湖畔で毎年一回 2月の第1週に全国から集まる人たち。今年で21回目。「障害があるひとの暮らしの充実を考え」「根っこにある人口問題」を考え、「障害を個性として文化芸術活動に展開したい」という国際的な動きも大津から始まっています。2月12日、長いです()。

2020年オリンピックイヤーに世界から「アール・ブリュット」作品を「聖火リレー」でつなぐように、各地で発掘・価値発見をしながら日本につなごう、という構想がいよいよ動き出しそうです。今年10月21日、フランスのナントでの企画展を皮切りに、来年以降、パリ、スイス、オーストラリア、タイ、台湾、そしてアメリカ大陸もつながる可能性も出てきました。

私自身、自分の講演が京都と大阪であり、表会合には参加できませんでしたが、世界各地のアール・ブリュットリーダーたちと琵琶湖の幸(ふなずし含め)いっぱいの日本食での懇親の場に参加しました。

皆さん、滋賀県のこれまでの歴史的貢献と今後の県立美術館でのアール・ブリュット部門の充実に大きな期待を寄せてくれました。表会合では、滋賀県顧問で東京藝術大学教授の長谷川裕子さんが「人間の本質に迫る美術館を構想する」と題して、2019年度の開館に向けて準備している「新生美術館」にこめた期待を語ってくれたということです。

振り返ってみると、今から70年前の昭和21年、糸賀一雄さん、池田太郎さん、田村一二さんが中心になって開設された「近江学園」。知的障害をもつ子どもたちは「世の光」、「この子らを世の光に!」と、障害者を真ん中に歩んできた70年の歴史があります。

その最初から、糸賀さんは、信楽の陶土を使って、障害者の心の表現を応援。土に触れて、土に癒され、土を焼いて、人間の本質に迫る作品群を生み出してきた。県外のデパートなどで展示会がはじまったのは昭和30年代。最初はおずおずと作者の名前が伏せられていたその作品群を、障害者の「立つ瀬」として社会的発信の場に育ててきたのがここ10年ほどの間に育ってきた「アール・ブリュット」(生の芸術)活動です。

私が最大の衝撃を受けたのは澤田真一さんの作品群です。一心不乱に土をこねて、トゲトゲを丸めて「オニ」と本人が称するお面のような顔や、ワニやカエルなどの生き物たちの存在感。つくる途中での熱中が「できた!」という満足感のなかで昇華。そのあとの作品への社会的評価にも賞賛にも何の関心も持たない。

まさに、生み出すプロセスにこそ力を注ぐ、その生きる姿勢に共感する人たちが、応援団としてだんだんに広がっています。澤田さん以外の「作家」もそれぞれにこだわる創作スタイルを持ち、そこが多様な生き方を表現してくれています。息苦しさが蔓延するこの時代の「心の拠り所」にさえなっているともいえるのではないでしょうか。

滋賀県ではボーダーレスアートミュージアム「NOーMA」が近江八幡市の町屋を活用して2004年に開設。主体となった滋賀県社会福祉事業団は、糸賀一雄さん生誕100年を契機に「GLOW」として成長。アメニティー・フォーラムの企画、運営の柱となってきた北岡賢剛理事長はじめ皆さんに感謝です。

アメニティーフォーラムは2月12日、本日もまだ開場しています。企画展「ライフワークイズム」も圧巻です!場所はびわ湖大津プリンスホテルです。お時間とれたら足を運んでみてください。

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