Facebook 2022年5月13日 参議院災害対策特別委員会で球磨川水系河川整備計画についての答弁。

5月11日、参議院災害対策特別委員会で、川辺川ダム計画に関連して、球磨川水系河川整備計画について、国土交通省副大臣の加藤鮎子さんと、国土交通省国土保全局長の井上智夫さんから、答弁いただきました。ひとつは河川整備計画原案に2700億円もの巨額投資を川辺川ダムに行うのに、「費用便益分析」が何も言及されていない、いつやるのか、ということで、これは(案)を公表するとき、ということ。本来は住民意見聴取の前にいれるべきでしょうが、ここは次をまちましょう。今回の質問のポイントは「溺死者」について、全く原案にふれていないことと、人吉市内溺死者を出した山田川の氾濫がバックウオーターかどうかを中心に井上局長にお聞きしました。そのポイントを紹介します。5月13日。(2000文字で少し長いです。また専門的ですが、ダムの溺死者減少の効果について、住民としては最も大事なポイントですのでおつきあいいただけたら幸いです)。
ーーーー答弁の一部ーーー
井上:私ども、この令和2年の7月豪雨で亡くなられた方の、どういう原因なのか、私どもも非常に関心があるところですし、嘉田委員の出された報告書というのも読ませていただいているところでございます。実際、私ども、ダムがなかった令和2年の時どうたったのか、それからもしダムを造ったとしたら、どれくらい浸水が防げるのか、そこを調査しているところでございます。
それで見ていると、委員のご指摘の通り、支川からあふれて、山田川とかからあふれて7月4日の午前6時代に氾濫が発生して、その後、球磨川からの氾濫が加わったということが再現の確認あるいは画像から確認できているところでございます。
これらの氾濫要因について、山田川と球磨川本川の合流点付近の水位を分析したところ、球磨川本川の水位上昇にともなうバックウオーター、この本川が高いことが支川からの水が流れきれないということがわかってまいりました。この水面勾配がほとんどない状態で、球磨川の水位と同じような高さになっているということです。ダムを一方で整備すると、この本川の水位を低下させることで、バックウオーターによる山田川からの支川の氾濫を防止又は減少させることができるというふうに考えられます。
たとえば、この4月に公表した河川整備計画の原案の中にも、この整備計画を実施した場合の効果を試算して、球磨川本川の水位が低下することによって、令和2年7月豪雨と同様の洪水が発生した場合には、山田川からの氾濫は発生しないという結果をえているところでございます。(中略) ダムをもし整備したならば、ダムの効果は午前5時頃から発揮されて、午前8時頃には山田川の堤防よりも1メートルから2メートル低い水位まで低下するという結果になりました。
ーーーーー答弁途中ーーーー
山田川と球磨川の合流部辺りを地図で示します。7月4日6時過ぎに山田川が溢れ始めたのは、山田川と鬼木川が合流する直下、肥薩線の鉄道線路橋と道路の橋が交差し、しかも川幅が下流に向かって狭くなっていて、右に曲がっているところです。しかも井上局長は「水面勾配がほとんどない」と言いますが、球磨川本流と、最初に溢れ始めた山田川のところの高低差は3-4mあります。現場の曲がりくねった地形や河川の幅、また現場で氾濫を目にした多くの証人の話を無視して、「バックウオーターだからダムをつくったら支流氾濫はない」というには無理があります。
昨年7月に球磨川豪雨検証委員会が提示した川辺川ダム建設の効果、の図に溺死者時間を入れた図が、『流域治水がひらく川と人の関係」の37頁に掲載していますが、ここでも国土交通省は、川辺川ダムの水位低下効果が出始めるのは6時頃で、しかもその時の球磨川本流は氾濫していません。
今回の河川整備計画は、支川の氾濫は、バックウオーターと繰り返し繰り返し説明していますが、もともとが掘り込み河川で、渓流部が多い球磨川本川のバックウオーター効果はそんなに大きくないはずです。今後も溺死者の死亡場所、時間とダム建設による本流の水位低下効果について、一ヶ所づつ丁寧にただして行きたいと思います。
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