Facebook 2021年6月25日 「今森光彦展―いのちめぐる水のふるさとー写真と切り絵の里山物語」

「今森光彦展―いのちめぐる水のふるさとー写真と切り絵の里山物語」。6月24日から9月5日まで、滋賀県守山市琵琶湖辺の佐川美術館で開催。琵琶湖畔の大津市尾花川で生まれ育った今森光彦さんは、子ども時代に近所の漁師さんからかいだ記憶の「琵琶湖の匂い」と、小学校時代、学校に行く前に目の前の田んぼで追いかけた「手づかみのコイやフナつかみの経験」の原風景を根っこにおいて、徹底した写真表現に加えて、ハサミひとつで表現した「切り絵」の世界を表現。今森さんならではの「前人未踏の境地」にまで、琵琶湖とのかかわりを深めてくださった感動の展示会です。夏休み中に、ぜひとも皆さん、子どもさん、お孫さん連れでご訪問下さい。6月24日。

本日からの展示会、後援会長の小松明美さんと訪問。佐川美術館の井上英明係長と馬場まどか学芸員、そし今森さんの長男の元希さんがご案内くださいました。1970年代から徹底して琵琶湖辺の生物や人びとの暮らしぶりを映像にしてくださった『里山物語』の舞台である大津市仰木の棚田と人びとのかかわりの風景。水の流れをたどって行きついた高島市針江の水辺でくらす田中三五郎さんの「おかずとり漁業」。いずれも市場向きの生産ではなく、暮らしをなりたたせる生業(なりわい)の情景、そこに今森光彦は心をひかれNHKの珠玉作品『里山の水辺』を完成し、世界90ケ国以上に映像表現される。2000年代初頭だ。
そのあと、今森は子ども時代にハサミひとつで切り絵をつくっていた、というその手先の記憶を原点に、東南アジアやアフリカなど、世界各地で出会った生物と環境とのかかわりの世界を目の当たりにしてきたその映像を、ハサミひとつで切り絵に表現していく。実は1980年代から今森さんとおつきあいをさせていただいていた私自身、今森さんの切り絵作品が2010年代以降生まれてきて信じられなかった。生き物や自然対象を写真撮影者として向き合ってきた今森さんのどこに、ハサミひとつで表現する切り絵があるのか?!
言葉は不要だろう。切り絵に込められたグラディエーション豊かなチョウチョや花々の世界。まさに手先の魔術師。それも自然界の現実をおさえながら、芸術表現に進化させていたくその心意気。理屈は不要です。見てください、見に行ってください!!
今森さんの現場と作品をつなぐ思いが、佐川美術館からびわ湖を挟んで対岸の今森里山の舞台と具体的に地図と映像でつながれる。それが「光の田園」と名付けられた棚田の仰木から天神川を経て琵琶湖につながる水の流れだ。暮らしの現場と生き物の世界をつなぐ、そんなあたり前の人の暮らしの「いのちめぐる水のふるさと」なのだ。目の前の風景を、皆で発見して、次世代につなぐ、そんな思いと願いが込められたのが、今森ワールドだ。是非、皆さん、足をはこんでください。

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