Facebook  2021年5月9日 「離婚後の子どもの幸せづくりと法制度(下)」

「離婚後の子どもの幸せづくりと法制度(下)」
(12)単独親権で、どちらの親を看護者や親権者と決めるか、という時には「経済力」「看護者としての信頼度」「子育てへの熱意」などいろいろあると思います。しかし「それまでいっしょにいた人を選ぶ」という「継続性の原則」が裁判官の判断で決定されるという出口がわかると、多くの離婚関係弁護士や、そこから示唆をえた母や父が、相手配偶者に無断で子どもを連れ出し、しばらく子どもといっしょに身を隠して時間を稼ぐという流れができてしまいます。そこで無断で連れ出した理由に「DVから逃げるため」と言って、DVによる診断書があれば鬼に金棒。5月9日(写真はイメージです。6年前にわが家の前の比良浜で孫が描いた砂絵、お父さんとお母さんに仲良くしてほしいという願いか?)。
(13)DVは今の日本では、警察が加害者、被害者双方から調書をとるという厳格な対応は少なく、訴えるだけで認められる傾向にあります。「実子誘拐」「実子連れ去り」を未然に防ぐためにもDVの厳罰化は必要です。池田さんの本にでてくる卒田さん(仮名)の例も、千葉家裁松戸支部の一審で、妻が娘さんを連れ出した事案で、「DVと認めるにたる証拠はない]ということで裁判官がDVの主張を否定。でもこのような例は大変少ないようです。いったんDV夫(まれにはDV妻)とされるとその判断を覆すことが難しいという訴えをたくさんききます。
(14)一方多くの裁判官らは、実子誘拐をした親に親権を与える判決をし、親権を奪われた親から「養育費を強制徴収」して、さらに「監視付き面会交流」を押し付けることで、「実子誘拐ビジネス」に関与していると池田良子氏は記述しています。その裁判官らが、実子誘拐ビジネスに関係する離婚後の家族の在り方を審議する法制審議会に正式委員として関与をするのは「利益相反」ではないのか。
(15)法制審議会に参画している法務行政職員は、法務大臣の指揮監督下にない、と前述のように、法務委員会で上川法務大臣が答弁しました。これでは今回の実子誘拐連れ去りで、最終的に「継続性の原則」で判断する裁判実務を知り、そこに適合するように、法務省職員が法制審議会で判断をしていい、ということを法務大臣からお墨付きをもらったことにもなります。これはまさに三権分立違反ではないでしょうか。法務省は行政組織として独立性がない、法務大臣の指揮監督は、法務省職員には働かない。
(16)では法務省の行政職員となった裁判官の人事権は、となるというまでもなく、最高裁判所事務総局です。裁判官の任地や出世など人事判断はすべて最高裁の事務総局です。裁判官の人事評価の最大基準はさばいた裁判の内容と数と池田良子氏は書いています。
(17)4月27日に、金子修司法法制部長に確認しました。「法制審議会では、発言者を明記した議事記録を作成する」と参議院法務委員会で明確に答弁くださいました。今後、法制審議会での個々の委員の発言を注視しましょう。3月30日の審議会の議事録もまだでていません。
(18)共同親権に反対する署名をかつて法務省に提出をした赤石千衣子さんは今回の法制審議会の正式委員で、本年2月10日に掲載されたヤフーニュース記事で「安全安心な面会交流の実施についてインフラ整備を行うべきです。現在調停、裁判で面会交流が決まったあとに安全に面会交流を行う支援機関があまりにも少ないのです」と述べている。一方で、超党派国会議員による共同養育支援議員連盟は1月27日「安全安心な面会交流の実現に向けた国による民間の面会交流支援機関の育成・公的支援の拡充及び制度化に、ただちに取りかかること」を要望する緊急提言を提出しています。この二つは全く同じ事を言っているように見えます。国会議員による共同養育支援議員連盟と共同親権に反対をしている赤石千衣子さんとは連携をしているのでしょうか? だれかがここをつないでいるように見えてなりません。
(19)多くの子どもを連れ去られた親が、いわゆる共同親権反対派と言われる方々に苦しめられてきました。私も2019年7月の参議院選挙の時に「共同親権」というひとことが政策集にはいっていたせいか、ネット上で落選運動をされました。反対派の中心に居る方と、信頼を寄せてきた国会議員による共同養育支援議員連盟の方が実は繋がっていたということになれば、この問題の改善に向けて大きな障害になると感じますが、実際のところはどうなのでしょうか?
(20)法制審議会家族部会の委員であるある大学教授や家族法の専門研究者が、「監視付き面会交流」をビジネスにしょうと、国としての「認証制度」を準備しているという情報もあります。
(21)海外で、このような監視付き面会交流の仕組みがあるかどうかについて、5月5日のシンポジウムに参加をした「ミツカン親子分離訴訟」の当事者でありイギリスの事情に詳しい中埜大輔さんや、フランス人の当事者やイタリア人の当事者に尋ねました。「親子交流は自主的になされるもので行政機関等による支援はあるが、犯罪者のように“監視”などありえない」という回答でした。
(22)法制審議会は、上川陽子法務大臣が、まさにチルドレンファーストとして、民間の意見を公平、公正にきくために設置しています。その学識経験者の意見や当事者の意見も法務省職員が差配しているとしたら、そもそも法務大臣の役割とは何なのか。菅内閣の役割とは何なのか?
(22) 法制審議会では、きちんと「裁判所の親権者(監護権者)決定基準として、「継続性の原則」ではなく「フレンドリーペアレント・ルールを採用すること」と「DVの刑事罰化」を審議していただきたいと願います。2011年の民法766条改正の時に、当時の江田法務大臣は、「継続性の原則をつかってはいけない、フレンドリーペアレントルールが子どもの最善の利益にとって必要だ」と明言しています。
(23)海外では離婚後も当事者の父母がたとえ高葛藤であっても「フレンドリーペアレント・ルール」を導入し、子どもとの時間を最大限、両方の親が確保、楽しめるような方針に合意できる親を有利にする離婚後判断がなされています。
(24)日本だけが、子どもの願いに配慮できない、相手配偶者をおとしめるような親ばかりなのでしょうか。監視や料金の支払いせずに、週末や夏休みなどに別居親が自然と子どもと時間を過ごすことができる、そのような親子交流こそ、今、日本の離婚後の親子が心から望む生活ではないでしょうか。そのためには、離婚時の「共同養育計画」を市区町村役場の戸籍窓口や、離婚を考える親の相談にのる地道な自治体によるサポートが必要です。そのための第一歩は、民法819条の単独親権を共同親権化する民法の改正が基本です。同時に、DVの厳罰化が必要です。左でしめて、右で共同化をすすめる、そのバランスある法制化が必須です。
(25)滋賀県では私が知事時代(2006年~2014年)に、虐待やDVの現場での厳しさをみていました。それで知事として、滋賀県警察の生活安全課の人員を強化して、特に女性警官を増やして、児童相談所などに、正式に出向してもらうような手配をしました。先日、TVのワイドショーで、児童相談所に警察官を正式に出向させて警察と協力体制をつくったのは滋賀県がはじめてと言っていました。
(26)4月13日の参議院法務委員会でも、「家族問題に刑事罰をもちこむことに躊躇があるか」と上川法務大臣に尋ねました。法務大臣は、「実子連れ去りは刑法224条の未成年者略取誘拐罪の構成要件に該当する」と答弁しております。刑法224条の保護法益は、「未成年者の自由と安全」「監護側の監護権」とはっきり川原刑事局長は答弁しています。実子誘拐は刑事罰の要件にもなること、現場の警察や裁判所で理解をすすめていただければ、橋本棋士のような、理不尽な実子連れ去りの悲劇は減らせることと思います。
何よりも、当事者の願いと思い、また声をあげられない子どもたちの声を代弁する組織は何としても必要と思います。5月5日の子どもの日に、改めて私自身、決意を固めています。長い文章におつきあいいただき、ありがとうございました。
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