Facebook 2021年4月30日 「老朽原発」=「40年超原発」=「高経年化原発」

「老朽原発」=「40年超原発」=「高経年化原発」、いずれもほとんど同じ意味ですが、皆さん、受け止める語感、イメージはどうでしょうか?そもそも「高経年化」とは?何ともこなれていない表現です。関電のHPでは、「機器や材料が長期間使用されること」とあります。表現をわかりにくくするのは世論を喚起しない戦略でしょうか?福島事故で炉心融解をおこした一号機は「老朽原発」でした。4月29日。(また長いです、1500文字)
若狭湾岸の美浜3号機、高浜1.2号機の再稼働を福井県知事が同意と4月28日の夕刊記事。そこでは日経新聞も読売新聞も見出しは「40年超原発」、朝日新聞だけが「老朽原発」と表現。翌日29日の朝刊では、日経、読売、産経にくわえて朝日までも「40年超」と見出しが変わっている。京都も「40年超」だ。毎日も「40年超」であり、結局私が調べた限り、見出しに「老朽原発」という表現を使っている新聞はなくなった。
朝日新聞が28日夕刊での「老朽原発」を29日朝刊では「40年超」と表現を変えたのはなぜ?夕刊への風当たりがきつかったのだろうか。どういう力が働いたのだろう。見出しをつけるデスクとトップの見解の違いか?2050年温室効果ガス排出ゼロという菅政権の方針が、原発の再稼働をめぐる世論を後押ししているといえるのだろうか?美浜原発の30キロ圏内に高島市、長浜市がふくまれる滋賀県としては「美浜老朽原発の再稼働」は何とも悩ましい。
滋賀県知事時代の2011年から2013年にかけて、福島並みの事故が美浜原発におきたら滋賀県への影響がどうなるか、「大気汚染」「水質汚濁」「生態系への影響」という3点から県独自で科学シミュレーションを行った。その結果、甲状腺の被ばく等価線量が100mSv~500mSv(旧屋内退避基準)の範囲となったのは、高島市、長浜市であり、最大距離は美浜発電所から42kmとなった。この区域を滋賀県独自の緊急時防護措置を準備する区域(UPZ:Urgent Protective action Planning Zone)と定めた。
水質への影響では、浄水処理後の水道水に係る基準である飲食物の摂取制限基準を適用すると、放射性セシウムでは北湖で10日間程度、摂取制限基準である200Bq/kgを超える水域が見られた。南湖では7日間程度、摂取制限がなされる。生態系影響では、長く生きる魚類では、ビワマスの場合、食用基準の1キロあたり100ベクレルを下回るには5-6年かかるというデータも出た。
昨日、京都新聞記者から取材をうけたので、私は上のようなシミュレーション結果を元に、次のように応えた。
そもそも福島事故なら浪江町位の近接地であるのが、たまたま滋賀県と福井県の間に県境があるので滋賀県には立地同意権も与えられない。それゆえ滋賀県は「被害地元」だ。原発事故がおきたら高島市民、長浜市民、5万人以上が避難する必要がある。しかしその体制は、滋賀県や高島市が必死に頑張っているが十分とはいえない。特に地震や大雪などが重なったらたった二本しかない国道は渋滞で動けなくなる。琵琶湖上の船輸送も準備をしているが運べる人数は少ない。人がどうにか避難できたとしても琵琶湖や琵琶湖の生き物は避難しようがない。
近畿圏1450万人の命の水源と世界的にも貴重な古代湖としての琵琶湖の生態系を破壊したら、国は責任をとれるのか。「電源の代わりはあるが、琵琶湖の代わりはない」。国策として優先度を考えるべきだと応えました。
私が住む比良浜には比良山系が迫っています。この山のむこうが美浜、高浜原発地域です。そして住民被害としたら、滋賀県以上に地元美浜町、高浜町のほうが大きいのは当然でしょう。「直近地元」の皆さまの命と暮らしが心配です。
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