Facebook 2020年9月6日 流域治水の伝導師?

瀧健太郎滋賀県立大学準教授、「流域治水の伝導師?」に!昨日9月5日に放映されたNHKスペシャルの「“最強”台風接近・どう守る・命と暮らし」を見られた方、わかりやすく「リスクを知って避難の準備を!」と台風10号が迫る中で強く訴える瀧さんの姿、印象的だったと思います。バックパネルも迫力ありました。(1400文字、長いです、スミマセン)
ここ数年、河川内部に洪水を閉じ込めきれない豪雨に直面し、ダムの緊急放流や堤防破壊で多数の死者被害も出てしまっています。この危機に直面して国土交通省も、「溢れることを受忍」「リスクを広く知り・知らせながら」「リスクコミュニケーションを深め」「命と財産をまもる流域治水」に舵を切ってきました。NHKがこの機をとらえて番組をつくってくれました。
「霞堤防」など、昔から溢れることを前提に竹林や水田など地域で洪水をうけとめてきた先人の知恵を活用して、今後は雨の強弱による「多段階リスク」の考え方も提案されています。国土交通省のこの分野の責任者でる井上智夫水管理国土保全局長と瀧さんの主張が矛盾なく、重なりあっているところが見事、感動的でした。
2014年に「流域治水推進条例」を制定してきた滋賀県の先例が役だち、また滋賀県も全国から学べる新しい段階にはいりました。わが家には今から13年前の2007年、瀧さんたち県職員がつくってくれた「しがの流域治水」のポスターが後生大事にはられています。本棚には「しがの流域治水―新しい治水 滋賀モデルの創造」の報告書。2008年発行です。
NHKスペシャル、いつもかぶりつきで見る好きな番組ですが、今回は、個人的にも感動的でした。瀧さん、皆さん、ご苦労さまでした。14年前の滋賀県知事選挙直後の2006年9月にうごきはじめた「しがの流域治水」。「知事の義務は洪水を河川に閉じ込めることだ!」と厳しく県議会などで求められました。「すべて洪水は河川に閉じ込めます」「どんな大雨でも枕を高くして眠れます」「すべて行政にお任せ下さい」と言えたら知事としてどんなに楽だったでしょう。
でも、現実は厳しいです。温暖化が進む時代、もともと洪水でできた日本の国土に洪水被害を無視して都市化がどんどん進みます。人びとの河川や洪水への関心も薄れています。洪水を河川に閉じ込めきれない現実を無視することで、油断をしたら水害死者や床上浸水など余計に被害が増えてしまいます。科学的予測に基づいた予防政策が必要です。
2008年、行政部会や科学者部会と並行して設置した流域治水検討委員会の住民会議の委員の皆さんが1年以上かけた審議の結果、「水害は必ずおこる」と2008年に報告書をまとめてくれました。勇気ある宣言をした委員長の大橋正光さんは鬼籍にはいられてしいました。このNHKスペシャルの番組、みてほしかったです。
「溢れるリスク」を説明しようと、過去の水害被害写真と証言を徹底的にあつめて、地域毎に説明。川から溢れる洪水リスクを市町や地域住民に示すことは大変でした。説明と説得の苦労を強いられたのが現場の職員です。今も、条例の実行にむけて警戒区域指定の仕事でご苦労をかけています。よくぞここまで耐えてくれました。深く感謝です。そして全国に仲間をひろげていきましょう!
今夜、大型台風10号が九州を襲っています。7月4日の豪雨で50名もの死者がでてしまった熊本県球磨川流域。「氾濫の危険性高まる」というTVニュース。心配です。熊本市内の有明海沿いに暮らす親戚は、高潮が怖いので、今日、市内の高台の親戚に避難したと連絡がありました。少しでも被害が少なくなりますよう、祈るばかりです。
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