Facebook 2020年7月17日 鳥取県智頭町訪問記 その3(「森のようちえん」には移住者が続々と!)

鳥取県智頭町訪問記(その3 「森のようちえん」には移住者が続々と!)
智頭町の「百人委員会」が後押しした事業のひとつに「森のようちえん」がある。きっかけは、元鳥取県職員の西村早栄子さんの子育て経験。京都の大学院時代にミャンマーに留学しデング熱に感染した。日本に帰って「授乳前におっぱいを除菌」するような日本の過保護さに疑問をもち、智頭町での子育てを決意したことがきっかけ。自分の子ども3人の子育てに満足し、自分だけで堪能するのはもったいないとひろげることを決意、「森のようちえん=まるたんぼう」を2009年にはじめた。7月17日(2000文字こえてます)。
園舎はない。智頭町の森、14ケ所がフィールド。自然が育ちの場となり、たくましい体としなやかな心を育む。日課がないことでやりたい心を尊重し自由と責任を学べる。玩具がないことで自然物に触れ、草や木、水や火、石、土に触れ、時には動物死骸の骨等に出会い、想像力やコミュニケーション能力を鍛える。子どもの育ちを信じて待つことで、大人は楽になる。
朝、駐車場に集まって、子どもたちが行き先を決める。うち1つは西山さん所有の森。「危ない・汚い・ダメ・早く」は禁句。「お口はチャック・手は後ろ・耳ダンボ」。なるべく子ども主体で子どもが決めるようにする。大人は指導ではなく共感者であり観察者。結果的に忍耐力や集中力、社交性、協同性、観察力や想像力、自立心などを養うことができている。
行政の支援もあり、県や町からの補助金ももらって運営。始めた頃2009年は町外からの預けは50%だった今は75%に。森のようちえんにはいりたいから智頭町に越してきたという人も少なくない。2018年の全国平均出生率が1.42に対して、森のようちえん家族は2.13と多産。外から入園したい場合でも仕事がないことは一番困るが、2013年ころから農林業で働く移住者が増えている。
移住者は住まい探しにも困るので元旅館を改装して「シェアハウス事業」にも着手し、最大で5世帯が暮らせるようにしている。家賃は3-4万円(移住者には1万の補助)。家族で仲良くなり、子育てもシェアできる。地域の振興で若い子育て世代の移住に繋がっている。次世代の育成で地元に20年後に帰ってくる子どもを育てる。
私たちが訪問した日、朝9時に駐車場に集まり、子どもたちが行き先を決める。この日は子ども8人にスタッフ3人。午前中いっぱい森を歩く。坂道で杉の丸板をさがして、おのずと又くぐりがはじまる。道路横の側溝では石をつんでダムづくり。最後には入れた石を「片づけ」。必ず元に戻すという。石の間からシカの骨をさがしてご機嫌の男子。森の中で火をもやし、ブランコに乗り、草花遊びに興じる。
子どもさんを送ってきた4名のお母さんたちに「まるたんぼう」に入った動機を伺う。Yさん。隣町の用瀬(もちがせ)町から車で15分かけて送っている。大人になってから自分で考えて行動できるようになって欲しい。自分の子ども時代も自由にやってきたので、そのような自由さに魅力を感じる。YSさんは千葉県船橋市出身。地域おこし協力隊で智頭に来た。森のようちえんは考える力、異年齢で関わることが魅力。だんなさんは都会で育ち、箱に入っているようで窮屈だったことと比べるとここは自由でいい。
Mさんは、兵庫県川西出身。自分が子どもだったら、こんなところに通いたいという思いから森のようちえんに来た。幼少時代は大阪豊中で育った。つまらなかった、窮屈だった。ここではようちえんだけでなく、生活全般のつながりを見た気がする。現在はシングルマザー。
Tさんは、神奈川県小田原市出身。旦那さんがイスラエル人で木工職人。日本の教育は集団優先で個を育てない。日本中をまわって、住む場所、仕事場所をさがし、個を育ててくれるところを探しまわった。そこで智頭町に出会った。智頭では職員がすぐに電話をして、森のようちえんの仕事を紹介してくれるなど職員が動いてくれたのは大変好印象だった
スタッフの山本さんは言う。児童福祉施設に務めていたが中堅の人たちと話が合わなかった。裏山散歩の提案も通せなかった。自分は、祖父母に育てられた。祖父がナタを渡して山に連れて行って放置されるような暮らしが当たり前にあった。今の仕事は人生観が変わり、ありがたみがあり、丸くなった。森のようちえんは、大人も子どもも主体性があって、互いにせめぎあう環境。
森のようちえんのはひふへほは、「刃・葉、火、不思議、変な人、本物」。本能的な部分が働くような暮らしをしていると、子どもはかわいい。子どもの認知の世界は広まり深まっている。言葉を自分で構築していっている。
滋賀県にも類似の思想と実践を行う「森のようちえん」は、大津市瀬田の「せた♪森のようちえん」、大津市堅田の「えくぼ」、彦根市に「森のまんまるようちえん」などがあります。また紹介させていただきますが、乳幼児期の生きる力を育むためにも、森のようちえんのような活動がどんどんひろがってほしいです。国会にも専門の議連ができました。全国の応援をしていきます。
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