Facebook 2020年6月20日 通常国会が終わりました

先日17日に通常国会が終わりました。コロナ対策もあり「国会延長を」と野党が要望しましたが、週一回の閉会中委員会開催で、手を打ちました。安倍総理は特に予算委員会での答弁が嫌いなようで早く閉会したかったようです。

私にとっては、特にコロナ問題への対応など大変大事な国会でした。委員会質問も「法務委員会」「東日本大震災復興特別委員会」「資源エネルギー調査会」の3ケ所で合計15回の質問ができ、「流域治水」や「子育て政策」でかなりの手ごたえがありました。その具体的内容は、報告書として今編集中です。7月上旬には完成できるとおもいます。

実は今日は大変重要な報告をさせていただきます。少し長いですが、よろしければおつきあい下さい(微笑)。(2000文字です)。

今、梅雨時期で、洪水や浸水に心配な地域も多いかとおもいます。

私のライフワークの一つでもある、洪水を水害にしないために「ながす」「ためる」「とどめる」「そなえる」という複合的な治水政策が「流域治水」です。滋賀県では県職員が頑張ってくれて、2014年に全国ではじめての「流域治水推進条例」が制定されました。河川内部だけでなく、人が暮らす流域での土地利用や建物の建て方、避難の仕方などを一体として予防的に備えをして、水害被害を最小化するのが「流域治水」です。

この政策を広げるための、地味ですが、大きな一歩が司法の場で示されました。京都地裁で6月17日に、福知山市内での、台風の住宅浸水に対する被害住民の訴えを認めて、宅地開発者であり販売者である福知山市に損害賠償命令の判決がだされました。

福知山市が新たに開発した宅地が2013年9月の18号台風による由良川などの河川洪水で床上まで浸水してしまいました。その場所は100年確率の大雨で3ー5メートル浸水するとハザードマップで示されていたところですが、宅地取引時に市がそのリスクを十分説明しなかったという住民の言い分が認められ、福知山市に損害賠償の命令が出されました。

洪水は自然現象であり、浸水被害で宅地開発・販売側の説明責任が問われた裁判に損害賠償命令が出たのは日本でははじめてと思います。

私自身が流域治水の必要性に気付いたのは、1980年以降、滋賀県内や京都・大阪など、淀川流域で、過去の水害被害調査をはじめてからです。たとえば滋賀県内の湖西のある河川では昭和28年9月の13号台風で堤防がきれ、13名もの死者が出てしまいました。その堤防の「切れ所」近くに「リバーサイドニュータウン」などの新興住宅が昭和50年代に開発されていました。住民の方に尋ねてもその昭和28年の水害のことは知らされていませんでした。その土地の危険性を知らされずに新しい住民が暮らしている・・・・何とも割りきれませんでした。

また琵琶湖東部の河川の下流部では、もともと堤防に切れ目があり、大雨の時に下流への河川水量を減らすための「霞堤」の場所に、新たに住宅地が開発されており、ここはたびたび水がついていました。そこに住まうことになった新住民の方も、過去の水害のことを知らされておりませんでした。

宇治川、木津川、桂川が合流する京都府内の「三川合流部」は、昭和28年9月の13号台風で水浸しになりました。その地域には、今、各種の福祉施設や、運送基地、工場などが建ち並んでいます。ここの地域の人たちに聞き取りをしたら「上流にダムも出来たし、河川改修も進んでいるから、今となっては水害被害はないだろう」と安心していました。

1980年代から最近まで、私たちは仲間を募って琵琶湖・淀川流域の40ケ所で、明治時代から現在までの水害被害調査をしてきしたが、どこも、過去の経験とリスクに無防備で、大変怖い思いをしてきました。

自然は暴れものです。特に近年の温暖化がらみの豪雨が増えているなかでは、河川堤防が切れたり、農業用水路や下水道があふれたり、あるいはもともと土地が低いところでは、どうしても浸水が起きてしまいます。そういう時にも「洪水を水害にしない」「水害による死者を一人も出さない」という政策こそ求められています。

滋賀県の「流域治水」の政策を他地域にも展開したいという思いで国会でも多くの人たちと話をしてきました。そしていくつかの委員会で「ハザードマップの不動産取引時の説明責任の義務化」や「土地利用、住宅政策、避難体制の整備」などを提案してきました。今、国土交通省も、流域治水の重要性を理解し、この7月には、不動産取引時にハザードマップの提示と説明を義務付ける政令が出される予定です。

そのような気運が高まっている矢先の京都地方裁判所の判決です。このあと大阪高裁に控訴されるかもしれません。また福知山市当局には、かなり苦しい裁判になるかもしれません。でも、時代を先取りして、人びとの命や財産を守るための治水政策に舵を切るきっかけになってもらえればと願います。皆さん、どう思われるでしょうか。ご意見がありましたら、是非ともお願いいたします。

この裁判に長い時間をかけて、現場で関わって下さった皆さまのご努力に感謝です。

福知山住宅浸水被害賠償命令 由良川 ハザードマップ 不動産取引時の重要事項説明 滋賀県 流域治水推進条例

https://news.yahoo.co.jp/…/981fd3e26757e2624ff17c13180519d0…

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