5月5日 子どもの日

5月5日、子どもの日です。少子化の中で、総人口に占める子どもの割合は、今から70年前の1950年(私が生まれた年!)には総人口の3分の1を超えていましたが、第1次ベビーブーム期(1947年~1949年)の後、出生児数は低下し続け、1965年には総人口の約4分の1となりました。最新の2019年には12.1%です。県別にみると、沖縄県が17.0%と最も高く、次いで滋賀県が14.0%となっています。一方、秋田県が10.0%と最も低く、次いで青森県が10.8%などとなっています。今日、子どもの日、実は私は今、国会で父母が離婚後の子どもの幸せづくりにむけた法改正(片親親権から共同親権へ)を探っています。今日はその点に少し踏み込んでみます。(1500文字、また長いです)

まず写真を一枚。ちょっといい話。私にとって初めての東京暮らし。4月7日の緊急事態宣言後、東京麹町の宿舎から四谷へ歩いて買い物に出たついでに公園や道路で親子の姿をみていると、父親がはいっている場面が増えているようです。1970年代からアメリカやヨーロッパ各地を訪問して、どこでも父親の姿が子育て場面で多くみられました。パリの地下鉄でベビーカーを押すのがお父さんというのが7割位。ニューヨークのセントラルパークで子どもと遊ぶのはお父さんが多い。今回のコロナ自粛で、テレワークなどで父親が家族とかかわる「働き方改革」が進んでいるようで、父子のつながりが深まり、共同親権への意識が高まれば、とも思います。

最初の図には1950年以来の子どもの数と割合の変化を示しています。そして図2には1950年以来の離婚件数の増加と親が離婚後の親権の行い方(ピンクが母、水色が父。日本は離婚後の親権は民法で片親親権と決まっており、父か母かどちらかに親権を決めないと離婚が認められません)が示されています。また折れ線グラフは、親が離婚した未成年の子どもの数です。昭和20年代は離婚数は約8万件、それが高度経済成長につれて増えてきて、2003年には30万件を越え、最近少し減っていますが21万件の離婚、3組の結婚に1組が離婚していることになります。

今日、子どもの日、私が問題にしたいのは、親が離婚をした未成年の子どもの数が、その年に生まれた子どものどれくらいの割合になるか、ということです。昭和25年頃、毎年280万人の子どもが生まれ、親が離婚した子どもは8万人、33人に一人くらいでした。ところが2018年になると生まれた子どもの数は86万人、親が離婚をした未成年の子どもは21万人、年齢構成から補正が必要ですが大まかには4人に一人の子どもが親の離婚に直面していることになります。

図3には、子どもの貧困が問題になっている中で、ひとり親世帯の貧困率が1980年代以降、一貫して高い水準で5-6割となっていることが示されています。一人親世帯の約9割は離婚か死別の母子家庭です。母子家庭の貧困問題の背景には女性の賃金水準が低いのとあわせて、民法に決められた離婚後の単独親権問題があります。去年から今年にかけて法務省が世界の主要国24ケ国の離婚後の親権制度をしらべたところ、トルコとインドをのぞいて22ケ国で、共同親権が義務あるいは選択できることになっています。先進国で単独親権義務の国は日本だけです。

父と母が離婚しても、子どもにとっては遺伝的にも、また親愛の点からも「父子」「母子」のつながりはかわらないはずです。しかし日本では民法で片親親権と決めているので、離婚によって子どもが片親から引き離される問題がずっとずっと隠れています。子ども自身が声をあげる機会が少なく、また離婚をする状態の父母は法律で片親親権と決まっていたら、子どもを奪いあうために余計に争う事が増えてきます。もともと共同親権なら、父母は離婚後も経済的、精神的に子どもとのつながりを保つことができ、「子どもにとって片親を失う」という悲しみは弱められるはずです。もちろん虐待やDVに手を染める親については親権制限・停止という規定もあります。

さて、コロナ感染拡大をふせぐために人間関係を切断するよう求められるケースが増えています。離婚後でも養育費支払いや、面会交流といって時間や機会をきめて別居親が子どもにあうことができるように民法が変わったのが2011年です。この影響もあり、離婚後の同居親は約9割が母親ですが、約4割の父親は面会交流の約束をしています。しかし多くの父親が、片親親権や妻との関係等のため「わが子に会えない」という状況に追い込まれています。私が参議院の法務委員会で親権問題を毎回とりあげているので、全国から「子どもに会いたい」というお父さんから切実な声が届いています。離婚後のお父さんたちの声は母子家庭ほど社会的関心が向けられていませんが、個々人の悩みは深刻です。

執筆業のNさんは2014年の春に当時3歳の娘さんをつれて妻が家をでたそうです。当事者となった彼が取材したところ、[根拠のないDVをしたてられ、裁判では親権を失い、養育費支払いと月1回の面会交流をかろうじて確保した]というケースが珍しくなかったそうです。Nさんは離婚以来、娘さんとの出会いを生きがいとして日々暮らしてきた。それが今回のコロナ問題で「接触させたくない」という元妻の思いから娘さんに出会えなくなっている。Nさんは『わが子に会えない』(PHP出版、2017年)という本で18人の離婚経験父親の、切実な声を生々しく伝えています。

面会交流でしか子どもと出会えない当事者団体の160名の親ごさんにむけたアンケート調査では、コロナ問題で、7割以上が全く面会できなくなったり減ったりしていたという(産経新聞)。また、このまま外出自粛が続いた場合に、子どもとの断絶が進む懸念があるかを尋ねたところ、「強く懸念される」か「やや懸念される」と答えた人が85%に上りました。

家族法が専門で面会交流や養育費の問題に詳しい早稲田大学の棚村政行教授は「離れている親にとっては子どもと会えないことで健康状態も含めて心配になることは非常に理解できるし、一方、同居している親にとっても子どもや自分の健康、それに休業に伴うさまざまな影響にストレスや不安を感じ、面会交流も大切だがそれどころではないと、精神的に追い詰められている状況にあるのではないか」と分析しています。

そのうえで「アメリカなど外国ではオンラインでの面会交流が20年ほど前から行われていて、日本はかなり遅れをとっている。面会交流は非常に重要なので、たとえ直接会えなくてもオンラインなどで会話できたほうがよい」と指摘しています。

今回諸外国の事例を当事者団体がしらべたところ、「イギリスでは面会交流は非常に重要だとして、外出制限の例外に当たる」と明示しているという。またオーストラリアやニュージーランドでは、面会交流が法的にも義務化されており、今回のコロナ感染症防止の中にあっても丁寧な規定を示して、親子の分断が進まないようにしています。

イクメン、カジダンがふえつつある日本。夫と妻が分かれても、親子の情やつながりは切れるわけではなく、何よりもこれまでの各国での調査でも、子どもにとっては、父子、母子のつながりを維持することが精神的、経済的、社会的に安定した人生を送ることができる、という結果がでています。明治民法以来の、「子どもは家の跡取り、家の所有物」として片親親権とされてきた家族法の伝統をいよいよ変えるべき時代になっている、と思います。何よりも当事者の子どもの最善の利益のために! コロナ問題で、家族の絆の大切さがみえてきたら・・・・と願わずにはいられません。

 

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