12月16日午後に「八ツ場(やんば)あしたの会」が主催する東京でのシンポで講演をさせていただきます。

ソフトの対策から嘉田が、河川のハード対策の方向を大熊孝さんから、また水問題の観点から嶋津輝之さんと3人の講演会になります。

嘉田がお話するポイントは三点です。一つは人が暮らす流域での町づくりや地域学習の中での命を守る仕組みである「滋賀県流域治水条例」の紹介です。「ながす」「ためる」「とどめる」「そなえる」の仕組みです。条例制定にむけて、8年かかったその背景や、県職員の知恵と知識と頑張りなども紹介させてもらいます。

二点目は、環境社会学者として、人と川のかかわりを明治時代以降、歴史社会学的にたどってきた中で「近い水」が「遠い水」に転換され、自分たちの命を国や県など、上位の行政機関と専門家にまかせてしまった今の日本の潜在的危険性を指摘させていただきます。倉敷市の真備地区での51名の死者や、愛媛県の肱川流域での9名の死者、これらの死亡被害がなぜ出てしまったのか、また両方で1万棟をこえる浸水被害を、「被災者視点」の現地調査から報告させていただきます。

三点目は今後の方向、出口です。ダム建設などの反対運動だけでなく、ダムが守ると言っている流域に暮らす一人ひとりの住民の立場から、自分の、自分たちの命を守る覚悟と方法を編み出すことです。「流域自治で自分たちの命を守ります。それでできないところを国や県がすすめてください。でも効果の薄い大規模工事に巨額の税金をいれて、わが可愛い孫子に、60年間も払い続ける”建設国債”という借金を、これ以上増やさないでください」と訴えたいと思います。それゆえ反対運動ではなく、流域自治、住民自治という賛成運動が大切と思います。

やんばダムで守られる、と言われている利根川流域の皆さんが、どれだけ自分の命の危険を認識し、ダムに依存しているのか、あるいは「遠いこと」ゆえ関心ももたないのか、そのあたりを是非とも、東京圏の皆さまと意見交換をさせてほしいと思います。私もやんばダムで守られると言われている利根川流域、坂東大橋近くの本庄市で生まれ育ちました。本庄市民にやんばダムのことがどこまで浸透しているか、ここも調べてみたいです。皆さんと東京でお会いできることを楽しみにしております。

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